独歩の独り世界・旅世界

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カンボジア~ミャンマーの旅、その3, アンコールワット

 われわれは普段から早寝で朝も早かったから、旅先の朝食はいつも一番乗りであった。ここの朝食も素晴らしく、それこそ普段は8枚切りの食パンを1枚ほどしか食べないのに、貧乏性だからこのときとばかり食べてしまうのである。表現力が乏しいので、写真一枚添えればいいところ、このときもカメラを忘れているのである‥。

 確かここの朝食は6時半からだったから、7時半スタートはなんら問題なしであった。が、それでも入場券を売るゲートは、どこからこんなに大勢の旅行者が沸いてくるのかと思うほどの混雑で(やはり、中国・韓国の団体さん多しである)、しばし並んで写真をその場で撮ってくれて写真入りticketをその場で渡されるのであった(それは前回も同じ)。その時点までにはおおよそのその日のまわり方を話してあった。こちらの希望としては、光線の加減でメインのアンコールワットは午後にしてもらい、午前中にアンコールトムと小回りコースの周辺部、そして昼食後にアンコールワット見学で終了というものだった。わたしの経験でいえば、初めての場合ならドライバー任せでもいいが、大回りコースも小回りコースでも基本的に時間のしばりはなく(開場時間はあり、早朝より17:00 or 17:30?)、コースをはずれる場合は別途料金になるが、時間的には一日貸切と考えてよい、で、廻りかたもコース内ならこちらの希望を入れられる。ただトゥクトゥク(バイク、タクシーも)のドライバーはその場所へ連れてってくれるだけでガイドではないことが前提となっている。で、彼らは料金が制定されているので、できるだけ労働力あるいは燃費を抑えようとする傾向があり、黙っていると彼らの思い通りに動かされてしまうので、極力事前に自分の廻り方を想定し、きちんと彼らに伝えておけば、たいていその通りにしてくれる。ちょっと道をはずれたり、難しい注文も多少のチップで何とでも対応してくれると思う。わたしが気を遣ったのはチップの代わりにできるだけ早めに終了させてあげようということだった。そういえば前回はわたしはバイクタクシーを使っていた、、バイクタクシーはトゥクトゥクより更に安く一日10ドルくらいだったか?いずれにしろ彼らの稼ぎは知れているので、よくいうことを聞いてくれたり頑張ってくれたら最後にチップはあげるつもりでいた。前回もそうだったが、今回のドライバー君もよくやってくれたと思う(カンボジア人は基本的に勤勉だし、心性はやはりアジア人なので当たりも柔らかくていい)。

 ということで、まずは通り道なのでアンコールワットの西門入り口でいったん停まってもらい、月並みな写真を撮ってからアンコールトム(Bayon、以下個々の寺院遺跡の解説は省きます、数多く出版されているガイドブックを参照してください)へいってもらった。途中の南大門の手前ではやはり絵になるのか大勢の人が写真を撮っていた。バイオンの東側入り口付近で1~1.5時間くらいの時間をもらって車を降りる。待ち合わせ場所を決め、あとは勝手に見て回ってくださいというわけである。アンコールワットのメイン遺跡であるバイオンもたくさんの旅行者で賑わっていた。ここの写真もつとに有名なので説明の必要はないと思われるが、上のほうまで登って一通り廻るには結構な時間と体力を要する。こういう高いところを苦手とするツレは下のほうから写真を撮って終わり、ま、それこそわたしはわたしで、そんなツレに付き合っていられないから、二度目とはいえ勝手に歩き回るのであった。しかしわたしにしても、もう細かいところはどうでもよかったし、ガイドブックを持っているわけでもなかったから、たぶんガイドがいたら説明しただろうところは見逃していたと思う。これはどこの観光地・遺跡にもいえることだが、わたしは高いお金を払ってガイドをつけることは決してしない。専門家ではないのだからたとえ解説されてもその場だけでしかないのだし、そういう意味では我々は二人とも全体的な印象(first impression、パッと観)だけを大事にするただのスノブでしかなかったのは、いうまでもないことである‥、、

アンコールトムの四辺は城壁と堀で囲われていて、東西南北にゲートがある。この南門は最も交通量が多く、いわばメインゲートになっている?;2枚

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アンコールトム内のメイン遺跡バイオンBayonのsmiling buddhaはつとに有名;3枚
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 それはこのあとのすべての遺跡にもいえて、ともかくそこにいたという刻印を自分に押すだけで十分と、少なくともわたしのツレにはいえたのであるが、わたしはBayonの次、ちょうど北側に位置するところにあった王宮は、たしか前回来たときは修復中だったのか?ほとんど記憶になかったので、かなりゆっくり見て回った。その頃に設えたのか?かなりの高層建築である王宮(Baphuon バプオン)の屋上テラスまでしっかりした階段が設けてあって、もちろんオノボリさんのわたしは上までいってみる。ここはバイオンほどの混雑もなく、眺めもよく、気持ちのよいところであった。ま、しかしこの広大な敷地を歩き回るだけで大変な体力を要するので、ましてや気温が高くなると、ほんと細かいところなんかどうでもよくなるのである。王宮の周辺、これは記憶にあった像のテラスとかライ王のテラスを歩き回っていると、もう疲れがでてきた。もとより普段から歩くことが嫌いなツレは早く車に戻りたそうな様子がミエミエで、タクシー・トゥクトゥク溜りに少しばかり馴染んできた顔を捜す。いや、もちろん観光バスやミニバスも多く駐車しているのだけれど、タクシー・トゥクトゥク・バイクの数ときたら途方もない数で、客を降ろすとドライバー仲間はみんな集って休みながら、談笑しながら客待ちをしているのである。我々のドライバーがどこにいるのか、捜すのも一苦労なのであった。

比較的涼しいときに王宮周辺を訪ねたのと、この辺は前回修復中だったので、今回の訪問でもっとも新鮮で、かつ気持ちのよいところだった。バイオンの北にバプーオンがあってそこへいたる空中参道も気持ちのよいアプローチだ。上2枚、、034_640x427035_640x427

バプーオンBaphuon;3枚、3枚目は屋上テラスから039_640x427041_640x427


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バプーオンから、その北に位置する王宮へのゲート042_640x427

王宮内の中心的寺院ピミアナカスPhimeanakas043_640x427

像のテラス上部のシンハ(獅子)像、この基壇に像のレリーフが彫られていて圧巻だったが、残念ながら写真なし044_640x427


 車に乗ると風を受けるので気持ちが良い、そうやって車に乗りながらグルって回ってくれればそれで十分というのがツレの本音だったと思う。それを察してか、あるいは労力の削減のためか、ドライバー君は南北クリアン(次の寺院も含めてこの辺は前回歩いてじっくり観ている)の間の道を通ってアンコールトムを東門から出ると、北側にある整った美しさのトマノン、南側のバブオンと同じ空中参道のあるチヤウ・サイ・テポータといった小さい寺院遺跡を飛ばしてしまったのだ。いや、すぐに止めて戻るようにいってもよかったのだが、たぶんツレにはどうでもよく、わたしも前に歩いていたから、何もいわなかった。そしたら次の大きな寺院遺跡タ・ケウも素通りしそうになった。オイオイオイと、このときは車を停めさせた。そう、黙っているとドライバーに都合の良いように廻ってしまうのだ。もっともここも前回上までいっていたし、ツレは下から眺めるだけでいいとのことだった。しかし、わたしはドライバーの勝手いったは許さないとばかりに少々急な階段を登っていった。ここも高さがけっこうあって、前は感じなかったが、その上り下りはきちんとした手摺りなんかがまるでなかったから(ここは一部修復中で、これから階段等の整備がなされると思われる)少々ビビルほど急なものであった。一番上に仏陀像が鎮座し、お守のおばさんが次々に現われる観光客に線香を渡してチップをせがんでいた。この手の押し売りもそこらじゅうにいて、わたしは決してその線香は受け取らず、お賽銭もあげなかった。そういう宗教心に訴えるようなやり方が気に食わなかったからである。いちいち信心深さを装っていたらキリがないのである。で、上からこわごわ写真を撮って地上に降り立ち次に向う。

北クリアン、暑くなければ散策するのに気持ちのよいところ045_640x427

タ・ケウTa Kevはけっこう高さがあって2枚目の写真は上段のテラスから更に上の部分を写したものである。そこを登るとその下の写真となる、、049_640x427048_427x640047_640x427


 次がタ・プロームTa Prohm、大木に飲み込まれつつある寺院であった。なんとも印象深かったこの寺院遺跡は端(西門)から端(東門)まで歩いて3~40分、ここもドライバーにとっては客をほっておける格好の休憩場所であった。観光客にとっても人気の場所だったから大勢の人で溢れており、われわれもそれに混じってルートに従って歩きだす。ま、わたしは前に歩いていたから驚くに至らなかったが、初めての人には自然の脅威をまざまざと見せつけられて、その驚異な光景に驚嘆の声を上げていた、、そういうシャッターサイトが無数に存在して、とても興味深いところではあった。次のバンテアイ・クディはよく覚えてなかったので、わたしだけが入った。すでに疲れきっていたツレには、すぐ目の前の湖(人工池)のスラ・スランは休むのにちょうどいいし、その前には土産物屋もあるからそのへんでぶらぶらしているようにいう。前回来たときは確かそこで昼食休憩とし、長時間スラ・スランの湖岸で休んだ記憶があった。それでバンデアイ・クディの記憶は飛んでしまったのか、あるいは端折ったのか?、なかなか大きな寺院だったがツーリストは少なめ、歩き甲斐があって面白いところだった。ということはやはり前回は端折っていたようだった。そこを出ると謀ったように昼時になっていた。予定通りというか、午前中にアンコールトム&小廻りコースの主な寺院は一通り回ったのであった。で、昼をどこでとるかの問題となる。前のときは確か三日券を購入して、アンコールワットエリア内では2回昼食をとっており、一度はドライバーと一緒に安食堂で、もう一度はこのスラ・スランで持ってきたパンかなんかで昼食とした記憶があった。われわれはできれば安食堂へ行きたかったので、ドライバー君にそういうと、それならと連れてってくれたのが、アンコールワットの近くにあった食堂街だった、が、そこは安食堂ではなかったのである。それは一見してわかったのだけれど、しようがないかと店に入ったら、昼時だというのに何軒か並んでいるその食堂街にほとんど客の姿がなかったのであった。われわれはリベート目当てに連れてこられたのがわかったので、あとは自分たちで探すからといって、待ち合わせ場所と時間を決めてドライバー君を解放した。それから周りを見渡して、バラック立てのそれとわかる食堂を見つけ、そこへ歩いていった。ま、そこでも市街地に比べると割高であったが納得いく食事がとれた。といっても注文したのは麺類とビールで11ドル(いい忘れていたがカンボジアの通貨は1ドル;4000R<リエル>だったがドルの汎用度が高い)、どうもわたしの旅は食重視でないところがツレの顰蹙を買うところ(喧嘩の元)であった。

タ・ブローム西門入り口付近;2枚052_427x640051_640x427

けっこう人気があって観光客の絶えないタ・プローム内;5枚053_640x427055_640x427057_427x640058_427x640060_640x427_2

タ・ブロームの次のバンテアイ・クディはぐっとツーリストが減って、静かでなかなか趣のあるところだった;3枚061_640x427062_427x640063_640x427

スラ・スラン;2枚065_640x427066_640x427


 さて午後の部は、最後になってしまったがメインのアンコールワットであった。いまさら説明の必要がない、世界に冠たる大遺跡だと思う。東洋一は間違いないところといっていいだろう。その建造物のシンメトリックな美しさもさることながら、その内部に描かれている壮大な仏教ワールドというか、レリーフの素晴らしさ、見事さ・すごさは訪れる人の何人をも感嘆させずにはおかない。その最たるもの、それらを細大漏らさず一級の美術館として開示しているのが他ならぬアンコールワットであった。が、西門入り口からそこにいたる道程と、そして回廊巡りは思いのほかシンドイのであった。ともかく人が多すぎてうんざりなのである。で、今回わたしはアンコールワットはパスすることにしたのだった。13時にアンコールワット西門でドライバー君と落ち合ってから、ツレにはせっかく来たのだからせめて写真くらい撮ってきたらといって一人で行かせる。そのあとの待ち合わせは、同じところらに14時半とした。そしてわたしは一人、ドライバー君に頼んで、そこから5分のところにあるプノン・バケンの入り口まで運んでもらった。プノン・バケンの往復はそこから1時間もあれば十分とみて、ドライバー君には14:15までに降りてくるから下で待っていてほしいといってプノン・バケンに登っていった。プノン・バケンというところはアンコールワットにあって数少ないサンセットが眺められるところとして有名で、夕方になると大変混みあう場所であった。ちょっとした丘になっていて、別に夕日に限定せずとも、高いところからアンコールワットが眺められる(それだけでなく360度の展望が得られる)希少な場で、わたしのお気に入りでもあった。このときも、もう一度行くならアンコールの雑踏よりこっちへ行ってみよう、そこからのアンコールワットをもう一度確認したい、それにその時間ならほとんどツーリストはいないであろうと思ってのことであった。実際はそれほど急ではない山道を20分くらいの登りであったが、途中から雨がぱらつきだしたのであった。大急ぎで頂上にある寺院に駆け上がり、その祠のひとつで雨宿りとなった。案の定、ツーリストはわたしが着いたときは皆無、そのあとに一組のツーリストを見ただけであった。恐らく夕方には入場制限もあるというから、人で埋め尽くされるのであろうが、その日はたぶんサンセットの撮影は叶わなかったであろうと思われた。わたしも残念ながら、いい写真は撮れなかったのだから(もっともそれは天気のせいではなかったが‥)、、

プノン・バケンPhnom Bakhengは修復工事中だった。最上段にある祠(写真2枚目)は流石に雨宿りに入るわけには行かなかったが、周囲にちょうど良い身を隠す場所があった。天気が悪く展望いまいち、写真もいまいちである、、067_640x427069_640x427070_640x427072_640x427

ツレを迎えにアンコールワット内に向うもこんな混み具合である。これが参道なのだから中の回廊は推して知るべし、、また、上2枚は午後2時頃だが、3枚目は朝8時頃写したもので朝は逆光になる、、
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 こうしてわれわれは15時にはホテルに戻っていた。ドライバー君にはせめて早く上がることで少しは楽をさせてあげたかと思っている。ことの順序が今となってははっきりしないのだが、実はその時点で次の日のベン・メリアはキャンセルせざるを得なくなっていた。それはこんな経緯だったと思う。前日に旅行代理店でポイペトまでのミニバス情報をもらっていたわたしは、そこで予約はせずに、その日ホテルに帰ったときにフロントで同じことを聞いてみたのだ。もちろんそういう対応はどこのホテルでもしてくれて(多くはトラベルエージェンシーも兼ねているのだが)そこでは普段から使ってるエージェンシー?に問い合わせてくれた。その返事をいつもらったか忘れたが(記録もなし)それによるとミニバスだったかワゴン車だったか、いずれにしろポイペト(タイとの国境の街)までは一人8ドルとのこと、ただし出発は10:00、9時半からロビーで待機していてください、とのことだった。ま、貧乏旅を旨とするわたしとしては前日のエージェンシー価格の2/3なら断る理由がなくなるのである。それとベン・メリアといってもその価値を知らぬツレを連れて、ま、50ドルくらいをかけていく価値があるかを判断すると、結論はおのずから決まったようなものだった。然るにドライバー君には、その旨を告げ前日の16ドルとその日の小回り代金15ドル、プラスチップ4ドルで勘弁してもらったのだった。チップの額の多寡はわからないし難しいところである(あげられる人はあげればいいのだが、あとの人が困るほど多くあげてほしくはない)。それでも特に不服そうでもなかったのがせめてもの救いであった。そのあとしばらく、われわれは知らずして昼寝となった。そして夕方から食事をとりに街に繰りだした。

 車の数も相当増えていると思われるが、街全体に活気があって人通りも多い。ホテルからオールドマーケットまではシェムリアップ川の沿いの道を歩いて7~8分か、最も交通量の多いold market bridge付近はイルミネーションで彩られ、遊歩道やベンチの並ぶ公園あたりを夕涼みを兼ねた地元民・ツーリストが行き交い、そのうちに花火が打ち上げられ、お祭りのような賑わいである。毎日こんな調子なのかはわからないが、毎日暑いのは確かで、やはり夕暮れとともに街は賑わいだすのかもしれなかった。食べ物屋も屋台から洒落たレストランまで夥しい数を目にするが、そして前来たときに味わったカンボジアの焼肉レストランの安さ、美味しさの魅力も忘れがたかったのだが、ま、直近の前日に赴いたSt.9の食堂街にまた足は向いてしまった。前日に食べ逃したもの3品くらい、そしてビール、ジョッキ×4でわれわれの夕食は済んでしまうのであった。7.5ドル、帰りにスーパーで飲み物・菓子・アイスクリームなどを仕入れて6ドル、その日一日の飲食費はトータル25ドルくらいになったが、これは高いほうかも知れなかった。そしてホテルの屋上で夜景を楽しみながら夕涼みしていると、どこからか音楽が聞こえてきて、買ってきたビールで酔いは回ってくる。われわれの極楽はなんとも安上がりであった、、

写真の腕が悪いのでこんな風にしか撮れなかったが、イルミネーションで飾られたシェムリアップ川、、021_640x427