独歩の独り世界・旅世界

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グアテマラ国内の旅 4) ビオトポ・デル・ケツァールBiotopo del Quetzal

 去年コバンCobanに来たのは、ここから北のペテン/ティカルTikalへ行くためで、それは3月の中ごろであった、コバンはアルタ・ベラパスAlta Verapaz県の県都で、近くにケツァール保護区のビオトポデルケツァールBiotopo del Quetualや美しい川棚や洞窟があって若い人たちに人気のセムク・チャンペイSemuc Champeyなどの観光地が結構あったので旅行者が多く訪れる地であった、、去年ビオトポデルケツァールには寄ってなかったので、今回の目的はそこに行ってみることともうひとつ、これもここでしか見られないという国花のモンハブランカを探して写真に収めることにあった、、

 そういう意味ではここはグアテマラの中でも特別の地であった、、国鳥ではなかったが生息地が限られていて、ほとんど見るのが難しいとされている大変美しい鳥ケツァール(ケツァールインディヘナにとっても神聖なシンボルであったし、グアテマラの通貨単位でもあった)の保護区があり、白い修道女という意味の清楚な花モンハブランカmonja blancaも、この地方でしか見られないとのことだったからである、、その幻の花モンハブランカについては現地レポートとしてし2月20日に書き送ったのでそちらを参照していただくとして、その日はまずパルケセントラル近くのファンタジアFantasiaという素敵なカフェで朝飯を食うことから始まった、、グァテマラの朝食はだいたい15~25Qくらいでホテルやレストランで豪華なものが食べられる(といっても内容としてはトーストとコーヒー、卵料理、フリホーレス、フルーツといったメニュウが一般的)、で、わたしの基準ではコーヒーのお変わりできるかどうかで、よい店よくない店を分けていた、、グアテマラコーヒーがおいしいその店はもちろんお変わりができた、、朝食エコノミカ(economica 経済的という意味)が21Q(220円くらい?)だった、、

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 雨は小雨だった、そのあとビオトポへ行くバスを探す、まず行ったのが大手のバス会社モンハブランカ、ビオトポへ行くバスはグアテ行きがすべてそこを通るので1時間に一本あった、、ということは10時か11時発に乗れそうだった、、そのときその名を会社名にしているモンハプランカ社だから、モンハブランカを見られるところを知っているだろうと思ってバス会社の人に聞いてみたのだが、意外にも知らないといわれてしまった、もしかしたらビオトポで見られるかもしれないともいっていたが‥??、 ビオトポへはミニバス(ワゴン車)も出ている筈だったが、その場所を聞くとそれは昨日ウスパンタンからのワゴン車を降りたあたりだった、、そこまでは結構歩かなければならなかったので少し高かったかもしれないがモンハブランカのバスで行くことにして荷物を取りにホテルに戻った、、

042_640x480 044_480x640コバン、パルケセントラルと教会、その教会の鐘は謂れがありそうだったが聞きそびれた

 途中BAMがあったので両替ができるかどうか寄ってみた、そこのお嬢さんがいろいろなところへ問い合わせしてくれたがやはり両替限度が200ドルとのことで諦めるしかなかった、そんなんで街をうろついて再びモンハブランカのターミナルに戻ったときはすでに10時を回ってしまっていて、11時のバスに乗るしかなかった、ビオトポまで15Q、モンハブランカのバスは他の大手バス会社のバスと同様ボンネット型のチキンバスでなくプルマン型(われわれが日常的に乗っている観光バスと同じ)で、普通便でグアテ市まで45Q、特急の少しデラックスなバスで65Qだった、グアテ市までは4時間半くらいで45Qなのに、1時間もかからないビオトポまで15Qは少し高く感じられた、、もっとも後で知ったのだけれど地元の人はその区間なら10Qのミニバスを利用しているようであった、、11時発のグアテ行き普通バスはお昼ころビオトポの山の中を通過した、、わたし一人そこで降ろしてもらう、ビオトポデルケツァール保護区といわれるくらいだから立派な公園かと思っていたら、確かに入り口はあったけど人っ子一人いない、お店も一軒もない、まったくの山の中、ただ国道沿いなので車の通行量は結構あった、、雨が激しくなっていた、どうしたもんか、近くに一軒宿があるという情報は持っていた、少し戻る方向に看板らしきものが見えたのでそっちに行ってみる、、

061_640x480062_640x480宿の入り口、この写真をとったのは別のときで雨はやんでいた

 なんか高そうな宿のような感じ、とりあえず情報だけでもと覗いてみる、、山肌を切り開いてコテイジ風の建物が数棟あった、客なのかここの人なのか食堂をかねた母屋のベランダで二人がこっちを背にしてパソコンにむかっていた、誰もわたしに気づいてくれなかったので、こちらから声をかけた、振り返った二人を見てびっくり仰天‥、2日前までアンティグアの田代で一緒だったyukikoさんとyuuichiroくんだった、何でこんなとこに‥ ! !、正確にいえば、何でこんなとこで! !、というべきだった、、冷静に考えればここで日本人に会う可能性は十分にあったのだ(ガイドブックに載っていて人気の場所だった)が、よりによって彼らがここに来ているとは知らなかったのだ‥ 、それからしばらくはここまでの経緯や、ここの様子を日本語で聞くことができた、そしてたぶんドイツ系と思われる壮年のオーナーとその奥さん、お嬢さんを紹介してくれ、雨がやんだら発つつもりであること、他にチリの若い女性が二人宿泊しているだけなので部屋は空いているはずだと話してくれた、、

 そのホテルLos Lanchitos del Quetzalはその地で唯一の人気<ヒトケ>のある場所であった、、つまりそこに泊まるしかなかったのだ、てっきり高いのではと心配したが、それでも100Qは良心的といえた、ただ食べ物屋がないのでそこで食事を取るしかなかったが、べらぼうに高いということはなかった、ま、日本の山小屋と比べれば片や今では一泊2食9000円くらい?こちらは一泊2食(朝、夕食を頼むと用意してくれる)で計算すれば1800円といったところだから5分の1?、だから彼らもここに二泊したといっていた、、そして彼らの情報によるとこの下にプルラPurulhaという村があって、そこまで行けばお店・食べ物屋があるということであった、そこまではミニバスで2Qで行けると教えてくれた、、彼らはここに2日滞在してケツァルは見ることができた、これからコバンに向かうといっていたが雨はやみそうになかった、、グアテマラはそういう意味では今は乾季のはずだった、、雨季は5月から10月と聞いていたが、わたしも去年の3月にここで雨に降られていたから、もしかしたら特にこの辺は雨の多いところかもしれなかった、それを知ってか彼らはちゃんとした雨具を持っていて上下の雨具をきっちり着込んで雨の中を行く決心をしたようだった、、で、それにわたしも同行することにした、わたしは傘だけだったが3人で表に出て雨の中ミニバスを待った、、プルラまでは山を下って10分くらい、ほとんど雨はやんでいた、、そこで別れを告げ一人下車する、、しばらくプルラの村をうろつき回る、何もない小さな村だ、それでも教会があり小さな市場があった、、市場の中に屋台が出ていて例によってカルネアサドの焼肉の昼飯、隣の店にビールが置いてあったので、みすぼらしい屋台での昼食も豪勢になった(焼肉定食15Q、ビール10Q計250円くらいなもの)、小さいが山間ののどかな村はゆったりとした時間が流れていて旅行者には心地のよいところであった、、

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 またミニバスで戻ったのだけれど、その足でビオトポデルケツァールの公園に行ってみた、、一応フェンスで仕切ってあるその公園はがっちりした門があって7時から16時開園と書かれていた、門をくぐって中に入ると小さな建物、ただの小屋があってそこで入場料を払うようになっていた、門番のような管理人が一人いるだけだった、その小屋の前が駐車場になっていて車が2,30台くらい置ける広場になっていた、そこに外国人のご夫婦がいてわたしを見るなりいきなりシーっという人差し指を口に当てるしぐさをして手招きでわたしを呼んだ、そして上を見ろとその方角を指差した、はじめ何がなんだかわからなかったし、いわれた方向を見てもどこに何がいるのかもわからなかった、が、そのうちそこにいた鳥が飛び立って別の木に移った、そこでようやく納得したのであった、、どうやらケツァールが来ているらしかった、、しばらく3人は無言で上を見続けた、もちろんカメラを出して構えていた、よく見ると一羽ではなかった、、3~4羽くらいのグループ?家族だったのであろうか?が、雨上がりの曇天で周りが暗くてなかなか写真に収められない、、それでも1時間くらいはその辺を、つまり木から木へ飛び回って好物の木の実をあさっているようだった、、うん、幸運だったのかもしれない、、何しろそこは公園の前の駐車場だったから入場料も払っていない、そしてそれを目撃できたのはたった3人だけだったのだから、、当然のように何回もシャッターを切った、が、ここでお見せできるのは数枚しかなかった‥

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 しばらくするとそのグループはほかの地へ移っていった、、もう待っても来ないだろう、、わたしはそのご夫婦に別れを告げ(どこの国の人か聞かなかった、お互いにケツァールを見ることができたことに満足していた)、いまさらお金を払ってその公園に入る気もなく(もう16時に近かったし)一人車道をさらに上に向かって歩き出した、、曲がりくねった山道を時々スピードを出した車が通り過ぎる、、どこか絵になるところを探したがほとんど森林に覆われて視界がきかなかった、それでも30分くらい歩いたか、大きくカーブしているところがあってちょっと突きでた高台があった、そこまで行ってみた、、が、相変わらず下のほうは何も見えなかった、ところが振り返った山の上のほうに大きな白い筋が見えた、落差何十メートルかの滝だった、、ちょうどそれはビオトポケツアール公園の上方に位置していた、もしかしたら公園に入ればそこまで行けたのかもしれなかった、、宿に帰ってその話をするとドイツ系のその親父は、その滝は宿の裏山からも行けるといっていた、そしていろんな話を聞かせてくれるのだった、、

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 あんまり客がいなかったからか、元来サービス精神の旺盛な人柄だったからか気さくなその親父はいろいろとここのこと、このあたりの情報を話してくれたのだけれど、如何せんわたしの聞き取りには限度があった、、まず、わたしが撮ったケツァールの写真を見せるとそれはラッキーだったねといってくれた、その日も次の朝も結局現れなかったが、そこの敷地にはケツァールが好む果実がなる木がたくさんあるので多いときは十数羽もやってくることがあるとのこと、特に決まった季節があるわけでないが3~5月が多いともいっていた、また、モンハブランカについて問いただすとたぶんコバンのカサデクニャで見られるはずだと教えてくれたが今行って確実にあるかどうかはわからないといっていた、、わたしが今さらコバンに戻りたくないというとサラマSalamaで見られるかもしれないとその情報をくれたがそれがどこだかよくわからなかった、、またこれは自信がないが、実はその親父が宝物のように大事にしているケツァールの羽を見せてくれたのだけれど、それは彼のお父さんがグアテマラの(戦前の独裁者)大統領ウビコからもらったものだといっていた、もしそれが本当なら彼のお父さんは戦前からこの地にいたことになる、はっきり理解できなかったがたぶん彼のお父さんはドイツ系移民で手広く農場経営をしていたのではないかと思われた、、一番傑作だったのは彼のかわいいお嬢さん、名前をアンドレアといったがともかくこれほど純真な子供らしい子供を見たことがない、まだ小学生であったその彼女いわく、わたしに折り紙できるかと聞くのである、、わたしができないと答えると日本語で書かれた折り紙の本を持ってきて教えてあげるといって、実際にいくつか折ってくれた、、いやはやグアテマラの奥地でグアテマラの小学生の女の子に折り紙を教わることになろうとは‥いかに日本の旅行者が多いかを物語っていた、、しかしそれはまたいかにこのファミリーがフレンドリーで暖かいハートの持ち主であるか、そしてこの地をこよなく愛し守っているかを物語ってもいた、ここはもう一度来てもいいかなと思わせる魅力的な場所&ファミリーであったことは間違いなかった、、

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