独歩の独り世界・旅世界

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旅日記 Guatemala への道 2) ティファナTijuana、ロスチモスLosChimos

 22ドルの予期せぬ出費があったとはいえ、無事メキシコに入国できたのだけれど混乱はまだ続く、わたしの怒りなど誰も他人事で(そりゃそうだ)遅れた時間を取り戻したい乗客にせっつかれたようにバスは勢いよく走りだし、わたしがてっきりそこがセントロだと思っていた国境近くの下町には停車せず、しばらく走って着いた先はなんとティファナ郊外にある長距離バスのターミナルであった、えっ、ここじゃないと内心思ったけどもう遅かった、ここが終点と告げられやむなくそこで下車せざるをえなくなった、実は、そこは思い出の地、よく知っている場所だったのだ、10年前のメキシコの旅のとき、確かに歩いて国境は越えたもののそこからこのバスターミナルに来るまでどんなに苦労したか、そして着いたはいいがドルキャッシュの持ち合わせがなくてバスに乗れなくなってどうしようかと思案に暮れたところだ、今回は逆にここに来るつもりでなかった(バスを使うつもりはなかった)のに、こんなところまで来てしまっていったいどうしたらよいか、また思案に暮れる場所となった、そう、わたしは前回の経験でティファナからメキシコシティまでのバスの旅がどれほどきついかを知っていたのだ、時間にして42,3時間いくら超デラックスバス(わたしの知る限りメキシコのバスは世界一ではないかと思う)とはいえ飛行機代とそれほど変わらない料金(200ドル)なのだからメキシコ人さえそんな長距離をバスで行く人はいない、実際今回隣の乗客にそれを言われてしまった、しかしわたしはそれを知っていたし、だから今回はティファナから飛ぶつもりだったのだ、ところがそのため一泊するつもりだったティファナセントロへはタクシーの運転手に聞いたらそこから15ドルもするという、しかも普通のバスはなさそうだった、そこで逡巡することになる、一つ、なぜバスのticketを買うときに確かめなかったのだ ! 二つ、どうしてツーリストカードのことを忘れていたのだ、そのために22ドルも取られたではないか ! 三つ、軌道修正のためためここでさらに15ドルも払えというのか ! さぁ、どうするか、迷った、ここまでの流れからすれば、バスを利用するのが自然だ、しかし流石にもう年なのでそれは選択したくなかった、しかしまたさらに傷を深めるのも躊躇われた、これ以上予定外の出費はしたくない、つまりそれが22ドルの後遺症だったのである、1時間くらいそこで迷っていたであろうか、夕闇が迫っていた、わたしは両替所でドルをペソに替えバスのticketを買った、行き先はロスチモス(LosChimos)全く予定外のところだった、もしバスに乗るとしたらどこまで行くかその場で調べていた、つまり42,3時間乗りっぱなしは流石にきついので途中どこかで一泊したらどうか、そのためにはどこが適当か、中間地点あたりに適当なところはないかと地図を見て決めたのだった、1時間に1本くらい出ているメキシコシティ行きのバスはだから余裕でticketは買えた、わたしの時計でLAタイム17時30分だったがメキシコ時間18時30分、わたしにとって因縁深い土地となったティファナをバスは30分遅れで静かに走り出した~

 夜の闇を走ること10時間、車窓は漆黒から藍へ、そしてだんだん白ずんで来て砂漠の風景がはっきりしてくる、瞬く間にオレンジ色に染まって5時半日の出、しばらくすると大きな町大きなバスターミナルに着いた、ヘルモシイジョ(Hermosillo)懐かしい街であった、そう前回10年前の旅のときはここまでのticketしか買えず、日中汗だくになって街中の両替出来そうなところを探して歩き回ったところであった、今回また別の形でここまでたどり着いた、ロスチモスまでのちょうど中間点あたりだった、ここでバスは約1時間も停車、カップヌードルが売っていて、それにきざんだたまねぎとシラントロ(香菜)とライム(もちろん全てフリー)をかけて食べるメキシコ風カップヌードルの食べ方、うまくないわけがない、15ペソ(100円くらい?)、こうしてだんだんカンを取り戻していく、うん、やっぱりメキシコはいいなぁと思わず微笑んでしまう一時であった‥、再びバスは砂漠の中を疾走して行く~

 ロスチモスまでの間Guaymas、Navojoa?といった町があったきりで、風景は変化のない単調なものだった、ロスチモス30分遅れで13時30分着、また時差が生じて現地時間14時半ということだった、さて、全く右も左もわからない街、どうしたものか?まず着いたところで明日のバスの時間の確認、ここからメキシコシティまでは24時間かかるとのこと&料金は1170ヘソとのことだった(因みにここまでティファナから890ペソかかっている、なおバス代はバス会社によって多少違う、メキシコシティ・ティファナ間は数社運行していたように記憶している)、そしてそのバス会社のセニョリータにホテル・銀行のある場所、つまりセントロはどの辺りかを聞いてみると、4ブロック歩いて右方向に行くとセントロだと教えてくれた、ラッキー!歩いていけそうだった、が15kgの荷物を担いで20~30分はきつい、荷物を預かってくれないかと頼む、銀行で両替してホテルを探して1時間くらいで戻る、そして明日のticketを買うつもりだと約束して預かってもらった、いずれにしろ時間はそんなになかった、言われた方角に進んで街中に入りまず宿をあたる、2軒目のところが1軒目より多少安かったので、そこに決めてしまう、1泊260ペソ(2000円くらい?)そして両替できそうなところを聞く、これまでの経験でメキシコではトラベラーズチェックを替えてくれるところが少なく、そのときも何軒か断られたかもしくはレートが極端に悪かったので、ずいぶんと歩き回らなければならなかった、閉店時間(16時)ぎりぎりに入ったとある銀行で親切な女性行員がいろいろ連絡を取ってくれて(どこに何の確認をしているのかわからなかったが)なんと150ドルのチェックを替えるのに1時間半もかかってやっとわたしはメキシコペソを手にすることが出来た、そうメキシコはトラベラーズチェックの両替は難儀します、で、急いでバスターミナルに引き返し明日のメキシコシティ行き朝9時発のticketを買い、荷物の礼を言って、今度は重い荷物を担いでまたホテルまで歩いたのでした(荷物を担いで行くにはちょっと距離があったが)

 ロスチモスという町は、持っていたメキシコのガイドブックにほんのちょっと載っていました、それは数少なくなったメキシコの鉄道路線のうち観光ルートとして有名な太平洋チワワ鉄道の起点駅のある町として紹介されていました、チワワ鉄道はメキシコ・シェラマドレ山脈の山岳・渓谷の景色美しいところ、また先住民タラウマラ族の住んでる地を行くものでとても観光客に人気があるコースとのことでしたが、今回はそちらへ寄り道する余裕はありませんでした、で、街としては小さな地方都市?特に特徴もなく、見所もない、夜8時にはほとんどの商店が閉まって人通りもなくなるといった感じで食べ物屋を探すのに苦労しました、適当なところがないかと歩き回って結局路上のタコス屋が一番旨そうだった、タコスの中身になる牛肉を焼く煙が日本の焼き鳥屋さん風で思わずそこに腰かけてしまった、ところが予想外だったことはそこにアルコール類がなかったことで、仕方なく焼いてもらった肉・セボイヤ(玉ねぎとネギをあわせたようなもの、これを焼いたものがまた旨い)トウガラシ、トルティヤを持ち帰ることにした、そしたらその付け合せのソースが2種類(二袋、たぶんサルサベルデとサルサメヒカーナ?)、野菜が3袋もついてきた、結局何個と聞かれて少ないかと思いながら4個と言ってしまったのは失敗であった、ホテルの隣のコンビニでセルベサ(ビール)を買ってホテルの部屋での夕食となったが、食べることができたのは2個が限度であった、それ以降何回かタコスは食べたがここのタコスが量も多く一番旨かったように思う‥

 翌朝、あまり眠れないまま(睡眠不足がずっと続いていたが)早起きして街に出る、どこかコーヒーを飲めそうなところを探すが見当たらず、そのかわり、またまた屋台で地元の人がちょうどプラスティックのコーヒーカップでなにか飲んでる光景を目にする、白い液体のものが2種類、どちらにするかと聞かれたが、どちらもなんだかわからないので適当に指差して一杯買ってみた、6ペソ(90円?)、それはあとでGuatemalaでも飲んだたぶんアトゥルと呼ばれるとうもろこし飲料ともうひとつは麦芽飲料だったのではないかと思う、わたしが飲んだのは麦焦がしの味がした、その後することもなく早めにチェックアウト、1時間も前にバスターミナルに着き、なす術なくバスを待つ、メキシコのバスは世界一ではないかと前に書いたが、その路線の発達度、バス会社の多さ(いい意味での競い合い)、それが必然的にバスを豪華なものにしている、南米あたりでは軽食サービスまであるとのことだが、メキシコではそこまではいっていなかった、しかし例えばメキシコシティのバスターミナルのデカさ立派さ(それは小さな国の空港のターミナルを上回る)を見たら、いかにこの国の足がいまや完全にバスに依存しているかがわかろうというもの(すでに40年も前から)それは道路の良さにも現れている、で、ロスチモスから乗ったバスは確かにシートのよさリクライニングの角度等飛行機を上回っていた、しかしそれでも長時間は疲れる、途中Culiacanという町から乗ってきたメキシコ国防省の将校に何で飛行機を使わないんだ?と聞かれたことは前に記したとおりだ、20分遅れでロスチモスを後にしたバスは途中Culiacan 12:30、Mazatlan 15:30 Tepic 20:00 1時間時差あり21:00 、Guadalajara 24:00頃、それぞれ到着&しばらく停車して翌朝8時にはメキシコシティの市街に入ったが、とんでもない渋滞のため、メキシコノルテ(北)バスターミナルに着いたのは2010年12月9日午前9時半だった~

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