独歩の独り世界・旅世界

他のサイトに書いていた'独歩の独り世界・旅世界'を移転しました

セレンディピティ serendipity

 どうやらセレンディピティという言葉を知らなかったのはわたしくらいかもしれない、遅ればせながらこの本‘偶然からモノを見つけ出す能力 ‐ セレンディピティの活かし方’〔角川oneテーマ21 澤泉 重一著 2002年 新書〕を見つけてはじめて知った言葉だ、ではまずこの本とのめぐりあいから述べていこう、どこかで話していることだが、わたしはもう何十年も新刊本は買ったことがなく(買わないことにしている、よって新刊本屋へは行かない)もっぱら古本屋通いである、というとなにやら胡散臭い読書家のように思われるかもしれないが、さにあらずあまり本は読んでいない、理由のひとつは頭が悪く本を読むのが遅いから、したがってせいぜい月に4,5冊読めればいい方で、最近は読む時間もあまりないから月に1,2冊がいいところ、読む本は偏っていてここ何年かは禅の本が多かった、だから本の選択はそれこそ月に1回か2回くらいしか行かない古本屋での行き当たりばったりで、その時おもしろそうなものがあれば買うし、なければ何も買わずにでてくる、それもわたしが行くのは古本屋の100円コーナーだけ100円以上の本はめったに買ったことがない(3冊100円なんてのはよく買う)、これも理由は明白でそれでなくとも多すぎる書籍の中から何冊かを選ぶとすれば、時間的(&経済的)にそこだけで十分なような気がするからだ

 さて、1ヶ月の長旅から帰ってはじめて先週の日曜にその古本屋に行った、例によって適当なもの・面白そうなもの捜していて100円本を3冊手に入れた、そのうちの1冊がこの’偶然からモノを見つけだす能力’という本だった、手にした理由は‘偶然’という言葉に引っかかったからだ、この手の本は100円だったらたいてい買っている、そこでこのセレンディピティという言葉に出会う、わたしははじめて聞く言葉だったが、この本には250年前に作られた新しい言葉だが、造語にもかかわらず生き延びて知る人ぞ知る言葉、前世紀の科学・技術の進歩革新に常に伴ってきた言葉で、各方面・各界で何度も話題にされている言葉らしいことをはじめて知る、ま、それでなくとも情報音痴だから、わたしだけが知らなかったらしい、でその意味は、表題の通り偶然に当てにしていなかったものを見つけだす能力ということらしく、その事例がいくつも紹介されていた、いや、言われてみればそれはもちろんわたしにも思い当たることで、そのような経験を数多くしていたから充分納得のいくものであっておもしろく読み進めていた(語意や事例はネット検索で数多く見ることができるとのこと、わたしはまだやってないが)

 と、あるところまできて不思議としか言いようがない箇所にぶつかった、この言葉のいわれが述べられているところである(この辺の説明・引用は大儀であるが)書かれた本によると、まずこの言葉の由来は1754年にイギリスの貴族ホレース・ウォルポールが当時のトスカーナ大公国イギリス公使ホレース・マン卿に送った手紙のなかで彼が作った言葉なのだそうだが、その彼は16世紀にヨーロッパに伝えられたさまざまなイスラム文化の中のひとつの物語‘セレンディップの3人の王子’という寓話からこの言葉が作られたと解説されていた(詳しくは同書参考にしてください)、でその‘セレンディップの3人の王子’のあらすじが紹介されている、少し長くなるがそのはじめの部分を引用『昔々その昔、地の果てに届かんとするところに偉大なジャイヤ王の支配するセレンディップ王国がありました。宮殿は美しいアヌラーダプラにあって大変栄えていましたが、ジャイヤ王を悩ましていたのは、この島をとりまく海に棲む凶暴なドラゴンであり、雨季には洪水、乾季には水不足になるような偏った雨の降り方でした。ジャイヤ王は、まず湖のように巨大な灌漑用貯水池を設けて水を管理し、雨季に激しく降る雨を農業用水として乾季に活かせるようにiしました。しかし、凶暴なドラゴン退治はいっこうに進みません ‥ 』 ???ここまで読んで、???この文章(物語)の9割がたは事実が語られている、もしこのアヌラダープラがわたしがつい先日までいたスリランカのアヌラダープラであるならば、ドラゴン以外はまったく昔のセイロン(スリランカ)を物語っているし今もそんなに変わっているわけではない、何故ならそここで言われている灌漑用貯水池は今もあって、そのそばにある遺跡の調査をしてきたばかりだったし、その地はアヌラダープラからそう遠いところでもなかったのだから‥読み進めていくと、はからずもその地が今のスリランカであることがきちんと説明されていた‥

 うーん、まんまとセレンディップさせられてしまったようだ ‥、何だこれは??よくあることではあるがそれにしても不思議なことである、もしかしたらこれは偶然でなく、必然 ‥ ???