独歩の独り世界・旅世界

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山レポート 3) 五竜岳 2814m

 予定としては五竜から鹿島槍までの縦走を狙ったのだけれど結果として敗退、以下その経緯を、五竜岳は例の100名山の中でも難易度は高いほう?長野県の白馬岳の南、白馬、五竜鹿島槍、爺ケ岳、針ノ木と続く後立山連峰の名峰の一つ

山行記録 ; 2008年9月20日 エスカルプラザ 7:25 テレキャビン利用 8分で1515mへ アルプス平 7:50 小遠見 9:00 大遠見 10:25 西遠見 10:50 休憩 11:10 岩場 11:40 厳しい登り続く 12:00 一瞬の晴れ間、休憩・写真 12:15 白岳山頂 12:45 休憩・昼食 五竜山荘着 13:15(10分以下の休憩数回、省略) 2008年9月21日 山荘発 6:00 五竜岳山頂 6:40 休憩・写真、晴れ間待つが逆に雨本降りに 7:00 下山 7:40 山荘着 荷支度・雨支度 山荘発 8:15 西遠見 9:20 中遠見 10:20 休憩 10:30 アルプス平 11:40  エスカルプラザ 12:00

山をやらない人にはわからないことだと思うが、かなりやってる人なら一度敗退した(頂上を踏めなかった)山へはたいていリベンジ(再挑戦)をかけるものと思う、それが二度も登りそこねたとなるとその思いは尋常でない、いつかは行くぞとチャンスを狙っているものだ、ところが歳をとるにつれその可能性がだんだん薄れてきてあせりがともなってくる、今年ダメだったらもうチャンスはないかもしれない、そんな思いに駆られて白馬五竜に戻ってきた、思えば最初にこの山にとりついたのはもう40年くらい前のことか?それはサークルの合宿でわたしにとっては初めての冬山だった、そんな昔のことだからほとんど詳しく覚えていないのだが、その合宿中にアイスバーンの斜面で後輩が滑落するという事故が起こった、幸いに命に支障はなかったものの大怪我を負い、われわれはその救助活動に翻弄された、わたしを始め冬山初心者が多かったが、手分けして本人の救出をする班と下山してスノーボートを運び上げる班とに別れ、わたしは数名の仲間と雪山を下りスノーボートを上げ無事彼を麓まで下ろした、事故からそこまでのことは鮮明に覚えている、それがこの五竜初体験であった、その後いつか登ろうと思い続けてはいたもののチャンスはなく時は過ぎた、歳もとってきた、楽な山ではないことはわかっていたからメンバーを探し扇沢爺ヶ岳鹿島槍五竜ルートの計画を立てたのが3年前2005年の夏58歳のときだった(そのときの記録はこの次かその次位?)、そのときのメンバー二人は昔の仲間でみんな歳はくっていたがツワモノぞろいだった、初日50代後半のおっさん3人は山小屋なんか泊まれるかとばかりテント・食料を担いで爺ヶ岳を越え冷池山荘の敷地にテントを張った、があいにく翌日は雷雨、雨の中行くか行かないか、協議の末おっさん3人は無理をしないことにした、次の日も雨は続き結局そこから来た道を引き返した

 そして、去年別の仲間を誘って今度は五竜から登って鹿島槍を抜けるルートを計画した、がこれはわたしの家の事情で休みが取れずお流れになり、そして今年たぶんラストチャンスと思って一人で出かけた、もしかするとわたしが拘っていたのは五竜岳の登頂より事故現場の確認のほうが強かったのかもしれない‥ 夜行バスは朝5時半には白馬五竜テレキャビン乗り場のエスカルプラザに着く、8時15分始発予定が7時25分にはテレキャビンを動かしてくれた、同じバスの同行者中年の3人組が一緒だった、曇り空のもと7時50分登りにかかる、3人組と追いつ抜かれつしてほぼ同じペースで西遠見の池塘まで来た、コースタイムより少々早いくらい順調だったのはここまでは比較的なだらかな登りだったからだろう、西遠見の池糖を先発したわたしは、西遠見山に向かって傾斜がだんだんきつくなるのを感じていた、15分も登っただろうか、それまではまったく見覚えのなかったコースだったが、その急斜面は明らかに記憶に引っかかっていたところだった、間違いなくここだ、この斜面わたしが慣れないアイゼンを引っ掛けて二重遭難にならぬようおっかなびっくりアイスバーンの上で回転したところだ、記憶は鮮やかだった、それにしても夏の現場は左側が階段状の登山道になっておりそこを通ればどうって所ではない、しかし事故現場の斜面はザレて急傾斜になっている、雪がなくても登れるところではなかった、場所は西遠見山頂の少し手前辺りだった、一つの目的は達成された、後を急ぐ、が傾斜がきつくなり疲れが出てきた、しばらく行くと岩場、岩場に取り付く前に休んでいると後続の3人組に追い抜かれた、その後彼らに追いつくことはなかった、そこからの1時間はきつかった夜行バスの寝不足が疲れを倍増させているようだった、白岳山頂12時45分、ここまで5時間結果的にコースタイムどおりの時間となっていた、そこからわずか5分で小屋に下れたのだが、疲れた身体をさらしたくなかったので山頂で昼食をとり、元気をつくろって小屋に入った、流石に9月だったので多いときには2,300人は泊まるであろう五竜山荘も、最大一部屋16人寝かされる部屋に5人づつの配分で3人組と同部屋になった、あまった午後のひと時全員昼寝、うまいカレーの夕食の後夕日が出てて五竜の写真が撮れた、9時消灯となっていたが7時には全員再び眠りについていた

 二日目、どうするか迷っていた、前日から行くか止めるか、つまり当初の予定は二日目は鹿島槍を越えて前回キャンプした冷池山荘までで、おおよそ9時間のコースを走破できるかどうか?この日の宿泊客(登山者)ざっと50人くらい?ご多聞にもれずその9割が中高年、単独者も多かった、そのうちの6~7割は皆鹿島槍を目指していたのだから立派というほかない、中にはわたしより年配と見受けられる方もいた、同部屋の3人組みと単独行の一人も例外ではなかった、わたしは体力的に見て冷池までは無理と判断、そうすると途中のキレット小屋泊、そこまでは行けるとしてその後は? 帰りの予定が一日延びるかもしれない、いやそれより3日も4日も歩き続けられるかどうか、それでなくとも岩場鎖場ハシゴの続く難コースだ、では天気次第ということにしようというのが前日出した結論、でその日の朝は今にも降りそうな曇り空、断念の理由ができた、たぶん行かないほうがよかろう、いや今の体力では行けないだろう、強行して他人様に迷惑をかけるようなことになったら‥そうやって名誉を捨て不名誉に甘んじることにした、結論が出れば早い、早速雨具とカメラをデイバックに詰め空荷同然で頂上へ向かう、そう今回バテた理由の一つに荷が重すぎたということがある、テレキャビンに乗るとき測った重量は15kgであった、今のわたしには15kgは重すぎたのだ、小屋泊まりで高山縦走するなら10kgがわたしには限度だったかもしれない、頂上までは岩場の連続だったが荷がない分1時間のところ40分で着く、頂上に着くあたりから雨が降り出す、しばらく待ったが晴れ間は現われず何の展望もないまま証拠写真だけ取って下山、小屋に戻ってしっかり雨支度をしなおして来た道遠見尾根を戻ることにした、充分睡眠をとったせいかいつも難渋する下山路も快調だった、途中事故現場の写真を撮り、中遠見で一回休んだだけで3時間半でテレキャビン駅に着いた、前回書いたズル登山に少々当てはまるが標高差6~700mをロープウェイに運んでもらえるのはありがたい、こうして結果的にはめでたく無事五竜岳だけは登ることができた、が鹿島槍は遠くなった‥

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