独歩の独り世界・旅世界

他のサイトに書いていた'独歩の独り世界・旅世界'を移転しました

雨の四国旅 3日目 66番雲辺寺→別格16番萩原寺→67番大興寺

 結局わたしがこの箸蔵街道から歩いていくということを詳しくいってなかったから、それもこのルートを辿る人はほとんどいないということを知らなかったからだが、普通箸蔵寺詣での場合、岡田さんからのお客さんを白地の郵便局で<朝>迎えて荷物を預かり、多少送迎する?つまりその辺の連絡が前日に岡田さんからあるのだけれど、それもなかったし、どうしたのかと白地荘のご主人は心配していたとのことだった。そうとは知らないわたしは、ともかく言われた白地の郵便局目指して懸命に歩いていたのだけれど、最初からきちんと話していれば、毎日岡田さんのところあたりまで片道7~8km、往復15km以上を日によっては何度も送迎しているとのことだったから、あるいはもっと手前でピックアップしてくれたかもしれなかった、というのが後でわかった実情であった。ともかくこの宿は以前聞いていた通り、そういうサービスをしてくれる誠にありがたい宿だったのである。だから次の日も同宿になった歩きお遍路さんと一緒に、岡田さんのところの近くの雲辺寺登山口まで8kmほどを、その気さくなご主人が送ってくれたのだ。ただ、その時間は、ま、これも朝発ちお遍路さんを思ってのことだったと思うが、朝食5:00~出発6:00と聞いていささか驚かされた。が、その車中で先代をついで奥さんと民宿を始めてから40年間(奥様は毎日3~4時起き?)休まず続けているというご主人の話に頭の下がる思いであった。大変なお接待魂(岡田さんも)を感ぜずにはいられなかった。

 さて、で、6:20には雲辺寺登山口から歩きだしていたが、すでにパラパラと雨模様、すぐに雨支度を整えての山登りとなった。思えば前回も(2年前、この時は岡田さんから)雨に降られた記憶があったが、確かあの時は雲辺寺に着いてから降りだしたような覚えがあった。で、その時もきつい登りに喘ぎ喘ぎであったが、今回の方が時間はかかっていた。この登り口から上の稜線伝いに走る簡易舗装の道までの標高差400mを、前回は休憩なしで65分、それが今回は途中休憩を入れて75分の登りであった(雨支度に時間がかかったからか?)。そこまで行きつくともうへとへとで、そこから比較的歩きやすい稜線の舗道となったが、雲辺寺までの2km強は前回も今回も50分ほどかかっている。その間に後から登ってきた若いお遍路さんに何人も追い抜かれた。雲辺寺(標高900m)着は8:25で、登山口からだと前回は2時間弱、今回は2時間強というところであった。比較的早い時間だったが、雲辺寺はロープウエーを使ってこられた団体さんで溢れていて、雨の中とはいえ読経の唱和が喧しいほどだった。巡拝を終え前回もその日の宿をここからtelにて予約を入れた記憶があったが、今回も民宿白地荘の女将さんから、ちょうどその日観音寺がお祭りで観音寺の宿はとりにくくなっていると聞いていたので、67番本山寺近くのビジネスホテルにtelを入れてみると幸い空きがあって、一発でその日の宿の予約が取れた。が、これも相当幸運だったことをあとで知る。雲辺寺発は9:10で、そこから15分は前回同じ道をいった。前回が雲辺寺で雨支度をし、今回はそこで雨支度を解いたう、- まに雨雲に縁のある - 雲の辺りに位置するお寺であった。

この日は雨模様で写真は少ない、66番雲辺寺;5枚Img_6955比較的新しい仁王門?Img_6956Img_6951本堂Img_6953大師堂Img_6958参道の羅漢像


 基本的に同じ道を歩きたくないわたしは(同じ道でも逆行はよくする)稜線から5分くらい下ったあたりの分岐を今回は左に行った。それはロープウエーの山麓駅に至る道だった。岡田さんあるいは白地荘さんから登りだした歩きお遍路さんにはほとんど追い越されていたから、その道では誰にも会わず、誰にも追い越されずだったが、この下りは思ったより長かった。ま、疲れもあったが、4kmくらいの下り(標高差550mくらい?)に1時間半ほど要し、一気に下れるかと思ったが途中一回休憩を入れた。ロープウェーの山麓駅着は11時になっていた。ここでまたしばし休憩、そしてそこから3km下の別格16番萩原寺へ、12:05の到着だったが、ここでまた雨が降り出す。ここは別格だったが、雲辺寺ロープウェー駅への途上にあるお寺だったし、道路事情もよかったりで(あるいはその日が土曜日だったからか?)参詣客は多かった。雨宿りもかねて、持っていた残り物と朝食にでたバナナで簡単な昼食兼休憩タイムをとった。が、雨は止みそうになく再び雨支度で12:55に67番大興寺に向かった。

下山道で遭遇したクモの芸術品?Img_6960Img_6964ロープウェーの下をくぐったあたりで初めて山が見えた(それまでは樹林帯の中を下っていて視界はなし)

漸くロープウエー山麓駅に到着;2枚
Img_6963
Img_6966

ロープウエー山麓駅駐車場からも結構展望があったのだから、晴れていれば山上からの眺めはさぞよかったものと思われる。が、あいにく2度とも雨とは !Img_6965

萩原寺;2枚Img_6967仁王門Img_6968大師堂、右のテントの下で休ませてもらった、、


 歩きお遍路さんならだれでも持っている、へんろみち保存協力会編の‘四国遍路ひとり歩き同行二人’というバイブルは、確かに四国全土をお遍路さん目線で網羅した優れたガイドブックであるが、そのスケール(縮尺)が大きすぎて?、細かいところの正確さに欠けることは、一度でもこれを頼りに歩いたことのある人には周知のことではないかと思われる。萩原寺からの道は間違いようはないと思われたが、どうやら一ヶ所間違えてしまったようだ。いや、それまでにも相当の回数道を失うことがあったのだけれど、この時もひどい間違いをしてしまった。つまり、地図の上では右に曲がるべきところを直進してしまったようで、そのあとところどころに貼ってあったり、四国のみちの道標が立っていたりするへんろ道表示がなくなって、どの道を歩いているかわからなくなってしまった。街中だったが、人に聞くにもほとんど人通りはなかった。しかし直感で、その道でも行けそうな気がして、そのままその道を歩いていった。出会った二人目はおばあさんだったが、そのまま行っても行ける、ぶつかったところを右方面へ、と教えてくれたので、自信を持って歩き続けた。1時間半くらい歩き続けて(おばあさんと会ったところからは30分くらい)大通りに出て、再確認と思って尋ねられそうなお店を探したが、その周りには適当なお店は見当たらなかった。誰かいないかときょろきょろしているところに地元風のおじさんが通りかかったので聞いてみる。親切に、少しいったところの歩道橋のところに右方面に入る道があるから、それを行くようにと(もっと詳しく)教えてくれた。そこから20分くらいで67番大興寺に着いてしまった。むしろガイドブックの道を辿るより若干早かったように思う。怪我の功名ということもあるのであろうか?

 この雨の大興寺は、前回も降られていた。また前回は66番から直接67番まで歩いきて、その時とても遠く感じたが、今回の道のりも長かった。それはある程度承知していたから、当初はこの日の宿泊先を67番そばの民宿にしようか、あるいは70番の本山寺近くまでいくか迷ったのだけれど(本山寺のビジネスホテルは観音寺の宿がとりにくいからそうしたのではなく、最初から大興寺脇の民宿おおひらにするか本山寺までいけるかで迷っていた)、白地の朝が早かったから、本山寺までいけるだろうと雲辺寺で判断したのだった。しかし、その判断が正しかったかどうか、ともかく大興寺の参拝は15:15に終えていたから、時間的には正解だったが、疲れはそうとう溜まっていたからだ。そこからはほとんど街中歩き、舗道歩きとなり、前回広島のお遍路さんと観音寺まで歩いた道をちょうど中間あたりで右に折れて、国道11号線を北上した。

萩原寺から2時間(正確にいうとこの時のタイムは105分)、ようやくたどり着いた大興寺Img_6970

Img_6971仁王門を入ると香川県の自然記念物に指定されている樹齢1200年といわれるカヤの大木があるのだけれど、手前の樹の裏側でこの写真からは判別しがたい、、

境内;3枚
Img_6972本堂Img_6975_2奥のお堂が大師堂


Img_6976本堂の前に並ぶ数人のグループはフランス人で、日本人のガイドが読む般若心経を聞きながらの参拝、今年はフランス人が多いと白地荘のご主人も言っていた、、


 いわゆる順打ちならば66番→67番を終えると次は68番69番へ向かうことになる。が、すでに順打ちとか逆打ちにこだわっておらず、ルートは勝手に決めていた。なのでこの時は次の日の予定を70番から歩いて68番、69番(68,69は同じ場所にある)へ、そして観音寺から電車で一気に別格12番延命寺のある伊予土居というところまで行くつもりでいた。ついでながら5日目は別格14番常福寺(椿堂、実は別格の14番だけはすでに訪れていた)、別格13番仙龍寺と65番三角寺を予定していた。なので、その日の宿としては70番本山寺近くがベストと思って、その近くの宿を探すと2件あった。そのうちの一つがその朝tel入れたビジネスホテルで、そこが空いていたから即決したのだけれど、着いてみるとそこはちょっと変わったビジネスホテルだった。まず、先にいった歩き遍路のバイブルにもその宿は載っていたが、そこに示されていた場所にいっても、それらしき建物がなかった。で、telを入れてみると確かに近くで、すぐに迎えにいきますという返事だった。待つこと2~3分でそこの従業員が現れ、実際2~3分のところにあったマンションと思しき建物に案内された。どうやらそこはビジネスホテル用に建てられた建物でなく、明らかに1ルームマンション、あるいは1DKマンションをビジネスホテルにて転用したといった感じの建物で、今はビジネスホテルとして運用している風だった。が、しかしながら、それはわたしにとっては何の不都合もなかった。一泊3800円の1DKの居宅はDKがあって、ユニットバスの風呂、そして畳の和室は十分な広さがあって、エアコンその他すべてが完備していたのだから、、一つだけ最初telいれたときと話が違っていたのはWiFiが完備されてなかったことだ。今時普通のBHならばWiFi無しは考えられなかったが、なんでもフロント近くでは可能というような返答に、もう一つの宿なら明らかに無理な相談と思えたからこそ即断していたのだ。が、それは今更の話で、近くにLawsonとかマックとかの店舗があったので必要ならそこへいけば用は足りそうだった。それだけでなく、その近辺は大型スーパーはじめ、いわゆる有名外食チェーン店が目白押しのエリアだったので、少なくとも食べ物屋探しで苦労するようなことはまったくない、抜群の立地にあったのである。で、何が幸運だったかというと、そこに着いてわかったことだが、そんなにわかBHのフロント(たった一人しかいない受付のおじさん)の在席時間が夕方17時から翌朝の9時まで、つまりチェックインは17時から、チェックアウトは9時までということで、それ以外の時間は誰もいないということを知ったからである。わたしが朝telしたときはぎりぎりそれに間にあい、夕方そこに着いたときは、その日の担当者がきたばかりという時間だったのある。そして、その夜は近くの大型スーパーに買い出しに出かけ、その夜の夕食と酒と次の朝の朝食を千円札一枚で賄えられたことも、わたしとっては幸運だったということであった、、