独歩の独り世界・旅世界

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2015 last in Guatemala 18 (最終回) カンクン空港泊、そして帰国、、

 last dayはチェトマル~カンクンだった。ほぼ予定通りきていた。ただ問題がひとつあって、そのための作戦は練っていた。それはカンクン発のフライトが早朝少し早すぎたことだった。これはわたしの便に限ったことではなく、大方のフライトの、特にアメリカ系の航空会社の便にその傾向があったのと、逆の視点でいうと格安ticketというのは、そういう条件が悪い便が故に安くなるという傾向もあった。なのでそれは承知の上でのことだったが、以前カンクン発の早朝便を利用したときは、ホテルからタクシーを使わざるを得なくて、それだとホテル一泊で3~4時間しか寝られないのとタクシー代がバカにならなかった。例えばグアテマラシティ発着も早朝便が多かったのだけれど、その場合はシャトルがあってそれはそれほど負担にはならなかったし、カンクンの場合でも4:30発のADOのバスで間にあえば問題はなかった。7時台の離陸なら、そのバスが利用できたし、それを使ったこともあった。が、今回のAA便は6:00のフライトだったから、もしホテルに泊まるとすればタクシー利用しか手はなかった。そこで考えついたのが空港泊だった。最近、成田でもLCC専用ターミナルができ、空港泊の客のことも考えたつくりになっているというようなニュースを耳にしたことがあったが、今やわたしのような貧乏旅行者にとって、空港泊が可能かどうかの情報はたいへん重要になっている。もちろん可能でなくてもやってしまう、そういう経験を何度か積んでいたわたしだが、カンクンでそれが可能かどうかの情報はもっていなかった。しかし、そうするしかなかったのだ。いくら安宿でもカンクンの場合最低200ペソは下らなかったし(空港近くのホテルだとその10倍?)、タクシー代は今や350ペソくらいになっていた。それを空港泊にすれば、前日の夜のADO(最終22:00)が使えるので64ペソですむ、つまり少なくとも500ペソ以上の差は明白だったのだから、貧乏旅行者たるものに迷いはなかった。で、そのための対策としては1,カンクンに早く着きすぎても逆に時間が潰せなくなるので、できるだけ遅く(空港リムジンのある時間までに)到着すること。2,空港泊の場合、ほとんど睡眠は取れないから、前日は夜行バスなんかの利用はせず、どこかのホテルでゆっくり休んでおくこと。ということで前日の宿泊地としてはチェトマルがベストだったし、チェトマルを昼ころ発ってカンクン夜着いて、そのまま空港行きのバスに乗れば一番よいのではないか?というプランを立てていた。ほぼ予定通りだった、といったのはそういう意味だったのである。

 なので、その朝はゆっくりでよかったし、なおかつ、わたしにはチェトマルでやっておかなければならない宿題があった。そのための時間としてもちょうどよかった。そう、往路に見つけられなかったチェトマル→ベリーズのバス便について調べておく必要があった。そのときのリベンジを果たしておかなければならなかったのである。で、その朝もけっこう早く起きてしまって、まず朝飯代わりにホテルの前の露店でアトゥル(このときnuevoかnormalか聞かれ、その違いを問うと説明されたが聞き取れなかった。ちなみにこの飲み物、ちょっと説明が難しいのたが、米を使った飲料?でメキシコでは非常にポピュラー、以前どこかで飲んだときは6~7ペソだったと思うが、このときは10ペソだった)を一杯もらって、ADOでバスの時刻表の写真を撮ってから、ターミナル前で客待ちしているコレクティボのドライバーにベリーズシティに行くバスがあるときいたが乗り場はどこか聞いてみた。ADOのターミナルはパルケセントラルに面していたが(ここは旧バスターミナルでもっと大きい新しいターミナルが別のところにあって、それが余計この街をわかりにくくしている)、パルケセントラルのもう一方は大きなメルカドに面していた。いずれにしろ、この界隈にあると思っていたベリーズ方面行きのバス乗り場は、そのドライバーが詳しく教えてくれたが、ここではなく別のメルカド(mercado nuevo;新しい市場といっていた)からでてるというのだ。それははじめて聞く話であった。それって、どこにあるの?歩いていける?と聞くとけっこう遠いという、どうやって行く?と更に聞くと自分の車がそこを通るとのこと。‥ほんと??いくらでそこまでいけるの?、3ペソとのことだったので、そのままそのコレクティボの客になった。そして、どこを通ってどこで降りるのかまるでわかってなかったが、ちゃんと降りるところも教えてくれたのだから、偶然とはいえ幸先がよかった、とはこういうことをいうのであろう。だが、確かにもう一つのメルカドで降ろされたまではよかったが、そのバス停がどこなのかは依然としてわからないままであった。一通りそのメルカドを一周してみる。しかし、それらしい場所は皆無、まったくバスが発着しているような気配も場所も、バス停もバス会社も見あたらなかった。ほんとにここから出ているのだろうかと疑う。これは人に聞くしかないとメルカドの駐車場を仕切っているようなおじさんに聞いてみると、確かに10時にバスはここから出るという。どこから?なにやら塔があってその下辺りとのことだった。そのときはまだ8時をすぎたばかり、あと1時間半~2時間もそこで待ってみる気はなかった。それでもそこから出ていることが確かなようだったので、それを確認できただけで良しとし、いったんホテルに戻ることにした。同じ通りをコレクティボは通るはずだったから、降りたところの反対側で待っていると、やってきたのは市内バスで、パルケセントラルまで行くというのでそれに乗る。バスのほうがコレクティボより高く6ペソだった。8時半ころにはホテルに戻ったか?暑いところだったので、まだ朝の時間なのにシャワーが気持ちよかった。宿題はそれで済んだことにし、そのあと時間を潰すにはパルケセントラル(parque centralは央公園という訳になるが、ここの公園は他に比べるとバカでかかった)内にあったムゼオ<museo;博物館>辺りで暇をつぶすのが賢明というものだったが、なにせ節約節約の窮乏旅だったから、その余裕は金銭的になかった。早すぎるのはわかっていたが、とりあえずカンクンまでいってしまおうとホテルをチェックアウトしホテルから一分のADOターミナルへ向かった。

(以前のブログで、メキシコ/チェトマルからベリーズinについて書いた記事を引用したことがあったが、その辺の詳しい情報及びリオドゥルセ~ベリーズシティ間のルート比較について知りたい方は、今一度その投稿先のトラベルコちゃん<http://www.tour.ne.jp/blog/>の中南米グアテマラを参照してみてください。なお宿題の成果としてのmercado nuevoへ行くには、どちらのターミナルからもコレクティボがありそうだったが、初めての方にはタクシー利用<20ペソくらい?>を薦める)

チェトマルのパルケセントラル、正面にmuseo<博物館>Img_1044_640x480

ちょうど上の写真と対角のコーナーにADOのターミナルがあった(その中にあった時刻表)。Img_1041_640x480Img_1046_480x640

ターミナル前の客待ちをしているコレクティボで連れてってもらった新市場(mercado nuevo)Img_1042_640x480

パルケセントラル;左の建物がmercadoで右手がmuseoImg_1045_640x480


 ADOのターミナルでMayaBのバスの時間を聞くと30分後くらいで次のバスがあることがわかった。前にも書いているが二等バスMayaBは一等バスADOの2/3の料金である。もうそれで行くことにした。9時40分発(これは時刻表にあった10:00発と思われる)のバスはいったん先に書いた大きいターミナルに寄った。そこで10~15分停車して、10時を少し回ったころ本格的にカンクンに向かって走り出した。やはり地元客はほとんどこのバスを利用していたが(もっとも地元の人でチェトマルからカンクンまで通しで乗っていた人はほとんどいなかった)意外に多かったのが長期滞在者風の欧米の若者で、この路線のチェトマルに近いあたりに知られてない穴場のリゾートがあったようで、確かBacalarというバス停だったと思うが、近くにLaguna(潟湖)のあるところで行きも帰りも欧米の若者の乗り降りがあった。カリブ海のリゾート地としてはこの路線のカンクン~トゥルムTulum間に特に有名なところが多く、当然欧米の若者に人気があったので長期滞在者風も多かったが、そんな彼らも事情がわかってくれば何も一等バスに乗る必要がないことを知って、このバスを利用しているようだった。しかし、その中心の街ともいえるプラヤ・デル・カルメンPlaya del Carmenを過ぎると乗客はほとんどいなくなった。そんなローカルバスだから一等のADOよりは1時間ほど余計にかかってカンクン16:40着。チェトマル~カンクン390km(前に350kmとかいたような記憶があるがそれは間違い)にちょうど7時間かかって235ペソ(2000円くらい?どうでもいいことだけれど1時間あたりは300円しない)だったのだから、決して高くはなかった。が、そのとき、わたしの手持ちは143ペソ(1200円くらい?)になっていた。

 それでも、やはり早く着きすぎてしまったのだった。カンクンのターミナルには待合室ともいえるスペースがかなり広くとってあったから、そこでどうするかを思案、まず、昼飯?(ほとんど一日何も口にしていなかった)、食事はその残金で何とかとれそうだった。安く食事のできるところは知っていた。が、荷を担いでそこまで行く気にはなれなかった。カンクンのターミナルには荷物預かり所があったので、いくらか聞きに行く。わたしの荷物だと1時間12ペソとのことだった。荷物を預けることは予定していたから問題は何時間預けられるかだった。1時間にするか2時間可能か?ともかく後払いだったから、荷を預けて以前にいったことのある中華屋へ。そこでは一品プラスチャーハンがセット料金で35ペソで食事ができた。帰りに7-11で飲み物が7ペソ、それでおおむね1時間は経過して、とりあえず荷物を引き取り、再び待合室の椅子でしばらく過ごす。空港行きバスは30分おきに出ており最終バスは22:00だった最終バスでよかったのだけれど、あと4時間をどこでどう?、と考えると無銭で暇つぶしのできる場所なんてまったく思い浮かばなかった。そうなるとこの場と空港とどっちがbetterか?ということになって、なら、空港に行ってしまうか、となった。20時発のバスのticket(64ペソ)を購入すると残りは25ペソ(約200円)となった。空港にいったら25ペソでは何も買えないことがわかっていたから、残された1時間半で、もっとも有効に25ペソを使い切るにはどうすればよいかを考える、そこの売店ですら、ほとんどその金額では何も購入することはできなかったからだ。飲み物でもアイスクリームでも何か一品は買えてもそれで終わりだった。ギリギリの有効活用?まず、明日の朝までの夜食と飲み物があればなんとかなるであろう‥、それが25ペソで可能か?しかし、それを物色に行こうにも大荷物で動けない。奥の手を出さざるを得なかった。そう、プンタ・ゴルダで使った手、そのためにわざわざ鎖と鍵を持ってきたのだった。こんな重いものは誰も持っていかないのはわかっていても、また持っていかれたとしてもたいしたものは入っていなかったから、そのまま放っておいてもよかったのだけれど、前にもいったが戻ってきたときの証明のようなものとして、一応鍵と鎖で椅子に縛り付けその場を離れた。向かった先は前にもいったことのあった、歩いて5分のところの公園Parque las Palapasだった。そこは土・日には公園内に設置されている舞台で催し物などが開催されてものすごい人となる庶民的な公園だったが、そこには数軒の屋台、といっても仮小屋風の店舗が常設されていて、何回か利用したことがあった。そこは最初の晩に泊まった安宿からも、以前に滞在したCasa Yoshidaからも近かった。思ったとおり、その日はウィークエンドではなかったが、数軒ある露店は全て営業しており、そこで販売されているものはどれも廉価でおいしそうだったが、その露店の一軒で15ペソのトルタス(tortas;わかりやすくいうとタコスの具-牛・ブタ・鶏の選択ができる-をパンに挟んだもの)をテイクアウトにしてもらった。ま、他の場所だと20ペソはしたから、これを15ペソで手に入れられたのは大きかった。残りが10ペソになる。10ペソあれば7-11でもOXXOでも飲み物は手に入れられたから楽勝の気分だった。しかしADOターミナルの手前で寄ったOXXOで最後の10ペソで買ったjugo de naranja(オレンジジュース)は失敗だった。てっきり100%のオレンジジュースかと思ったのだが(よく見なかった)炭酸系のオレンジジュースだった。何故失敗だったかというと、結局それは飲みきれず、次の朝セキュリティチェックの手前で飲み残しを捨てざるを得なかったからだが、たったそれだけのことで有終の美を飾れなかったことが少々気分を害したということだった。しかしそのときはメキシカンペソをすべて使い切っことで気分は上々、20時のバスで空港に向かったのだった。

 カンクンのエアポートはターミナルが1,2,3とあってその順にバスは停まっていった。最後のターミナル3までいった乗客はわたしともう一人だけで、十数人いたそのバスの乗客は全て1,か2,で降りていた。どういうことかと訝しげに思いながらターミナル3で降りたのだけれどその訳はすぐにわかった。当然空港だからガードマンのような警備が何人もいて、一応のチェックを受ける。どこに行く?何時のどこの便?といったことを聞かれるのだけれど、その都度正直に答えてチェックポイントを通過、空港ロビーに入った。そのとき、そういうことだったのかとわかったのである。そこはほとんど無人の空間だったのだ。つまりその日の発着便は全て終了していたらしく、空港職員も航空会社職員も、当然チェックイン待ちの乗客も、従って売店等の社員も誰もいない空間だったのである。ほとんど無人のエアポートターミナルというものをこのときはじめてみたような気がする。と同時にわたしの空港泊の計画が無残にも失敗だった可能性を見ていた。これはもっともやりにくい状況といってよかった。わたしの空港泊のイメージはそれまでの経験から以下のようなものだった。空港泊そのものは、24時間オープンのところでは暗黙の了解のようなものがあった。夜間の発着便、早朝の発着便はどこでも少なからずあったから、その利用客のためにオープンせざるを得なかったし、だから24時間オープンが普通だと思っていた。もちろん夜間・早朝の発着を禁じていて(あるいは制限していて)、その間は入場できないところも知っていたが、まさかカンクンがそうだとは思っていなかった。で、24時間オープンのところでは、普通にチェックイン待ちの乗客、あるいは座席で寝ながら朝を迎える乗客は少なからずいて(それを空港泊というのだが)わたしもその一人になるつもりだった。ところが、ここにはその他大勢がいなかったのである。で、まず思ったのは、ここは空港泊そのものが禁止なのか?、あるいは何時から何時の間は入場が禁止されるのか?、結論からいうとそのどちらでもなかった。だから結果的に空港泊はできたのだけれども、もちろんほとんど寝れなかったし、満足のゆく空港泊はできなかったのであった。では、何がどう、どこがどう、イメージと違ったのか。まず暗黙の公認(たとえ横になっていたとしても)とされる場所がなかったこと。同じ空港泊仲間が、- それでも真夜中に2~3人いたことを知るが - ほとんど見つけることができず共犯者のいない心細さがあったこと。夜半に空港職員から、わたしが見つけた隠れ場所<そういう場所を見つけていた>は一応禁止区域になっていると移動を命じられたこと。夜半中何かのアナウンスが途切れず、うるさくて結局眠れなかったこと。メキシコの夜行バスよろしく誰もいないターミナルなのに冷房が効きすぎ、旅行中一度も使わなかったダウンと何かのときのために持っていた銀マットが役に立ったという珍事などが挙げられる。で、ほとんど眠れなかったのであるが、それでも誰もいない空港ターミナルで心細くも一夜を過ごすことはできたのであった。

誰もいない空港ロビーで見つけた隠れ場所で、その日の夕方最後の25ペソで仕入れたtortasとjugo de naranjaを撮る(これが今回の旅の最後の写真となった。前に並んでいる機械が自動チェックインマシンで夜半中うるさかった)Img_1051_640x480


 最後の30分はどうやら眠りに落ちたようで、気づいたときはすでに人だかりがあってチェックインは始まっていた。3時を過ぎていた。この人たちはいったいどこから、どうやって来たのかちょっと興味深かったが、それよりも逆に先を越されてしまって少し慌ててしまった。で、そのあとわたしも彼らの後に並んでチェックインしようと思ったとき、その夜半中<よなかじゅう>止まることのなかった安眠妨害のアナウンスの意味がわかったのであった。すべてのパセンジャーpassengerは自動チェックインを行ってくださいといっていたのであった。そういえばなにやら訳のわからないものがズラーと立ち並んでいたのはもちろん見ていた。それがなんだかもわからずに‥、、どうやらそれが自動チェックインなるものらしかったが、いざそこで手続きをしようと思ったら、非常に簡単な英語またはスペイン語?いや、日本語もあったが、どうやったらいいのかがよくわからなかったのである。恥かしながら係りの人の説明でなんとかそこをクリア、その機械からボーディングパスが出てきたのであった(座席の変更も可能のようであったが、未だにその仕組みはわかっておらず、年寄りには機械よりも直接のマンツーマンのサポートのほうがよほど安心できると思わされた)。その後カウンターで荷物を預けることになったのだから、年寄りとしてはこういった機械化は反対で、今までどおりにしてくれないかと思ったものである。ま、そのあとは、おおむね順調で何事もなくダラスまで飛んだのだけれど、ダラスに着くと今度はイミグレが自動化されていたのに驚かされる。こちらのほうはおかげでほとんど並ぶことがなく、ま、そういう様々なところでの日進月歩は目覚しく、世界は確実に進化しているということを数時間の間に2回も経験させられたのであった。いつの世でもそうであるように、しかし年寄りにとっては、それほどありがたい進歩でないものも多く、逆に確実にとり残されていく実感を味わうばかりである。ともあれ帰国したその日は荒れ模様の天気で着陸に相当難儀したようで、ちょうどわれわれの前の便に、ちょっとしたアクシデントがあったようなニュースを帰宅した夜に見た。この荒天のため桜も散ってしまったと税関の職員が話してくれたのを、そのとき思い出していた‥、、

<この辺でlast in Guatemalaを了とします>