独歩の独り世界・旅世界

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一年ぶりのお遍路 1,報告ままならず

 ちょうど一週間くらい前に四国から戻ったのだけれど、戻ったその日に図書館からのmailが入っていて、予約した本が入ってますので取りに来てくださいとあった。で、次の日に出かけて、時間もなかったのでその本だけ受け取って戻って、お遍路のまとめを終えてから読み始めた。内容はすこぶる良、それでいてたいへん読みやすかったので、遅読のわたしでも二日で読了した。わたしは新書版が身にあっているというか性にあっているようで、小説間の類はあまり読まないから、たいていは新書版のhow toものやノンフィクション系、***入門といった類が多く、ボンクラ頭にはそんなのがちょうどあっているのである。

 で、そんな読書とは無縁のわたしが、数十人待ち(だった)の本を予約までして借りようと思ったのは非常に珍しいことであった(過去に一回か二回しかない)。しかも、その本については何か書評を見たり、あるいは何かの宣伝で知ったのではなかった、それは図書館で別の本の検索をしていたときに、たまたま関連本として検索の列に引っかかって出てきたといった、まったく予期せずに発見して面白そうと思ったもので、すぐに借りようと思ったら順番待ちだった、という経過をたどって、すでに忘れかけていたものだった。前置きが長くなったが(実はまだこれは前置きなのだが)その本の題名はアレックス・カーというアメリカ人?の方が書いた‘観光亡国論’<中公新書ラクレ2019/3月刊>という本で、すでに55年も日本に滞在されていて古民家再生や過疎地の活性化を達成させている日本人よりも詳しい観光問題の専門家?(どうしてこういう本が日本人の手で書かれないのか、とも思わされた)日本の現状を危惧し、問題を鋭く分析し、未来に向けて打つべき手・対策を的確に指摘していて非常にためになる内容のものだった。ほんとにこういう本を読むと、いかに打つ手が後手後手だったり、知恵を使ってなかったり、意識が低かったりする主に行政の手腕が浮き彫りにされてくる。わたしの関心も、わずかだがそういったインバウンド外国人旅行者と多少なりとも接触があったので、特に興味を覚え、また大変勉強になった本となった。ま、今回の主題ではないが、お時間のある方は目を通されても無駄にならないと思う、、

 さて、ここから本題に入ります。実は、計画は去年からあったお遍路の続き、去年の暮れに予定していた何回目かのお遍路行が、体調不良にて半年延期になり、6月の11日から一週間の予定で四国に出かけ一週間前に戻ったのでその報告を、ま、簡単にしなければならないか、と思いながら日々暮らしているのだけれど、ひとつには出発直前に仕上がるはずだった南米ペルーの旅録が(いろいろ問い合わせたり調べた結果)サイト側の不具合のため突然更新できなくなってしまったことから予定が大幅に狂い、わたしにはその修復ができないままお遍路へと向かわざるを得なくなったという事情があって、帰ってきてもその状態は変わっておらず未だにここで書き続けていいものか、あるいは引っ越ししてか、といった数か月の前の問題が再燃していて、今一つどうしていいのかわからずにズルズル来てしまっているというのが、現状としてあります。そしてもう一つ、その報告をためらう問題が思わぬところから生じてしまって、どうしたもんかといささか意欲喪失しているという状況でもあるのです。いったいどうしたのかというと、先にあげたアレックス・カーさんの'観光亡国論'を読み挙げて、いい本だったと感心して最後の奥付を見て、同新書の最近刊の紹介を見てしまったところから始まってしまいました。そこに(何かの縁だったのでしょう)黛まどかさん著'奇跡の四国遍路'という本の紹介が載っていたのです。黛まどかさんという俳人の方の名前は知ってましたが、もちろんわたしは俳句をたしなむ教養もないし、著書も多数あるようですが、拝読したことはありませんでした。しかし、その作者紹介に、彼女はスペインのサンチャゴ巡礼の道を歩いていたこと、そしてその彼女が2017年に完全歩きの通し遍路をされていて、そのときの報告であると知ったときに、途端に胸騒ぎを覚えてしまったのです。ちょうどわたしが、中途半端なお遍路から帰ったばかりの時で、読まずにいられなくなり、観光亡国論を読み終えた翌日にその本と引き換えに(運よく奇跡の四国遍路は書架にあったので)借りてきて昨日読み終えたところです。つまり、それを読んでしまったあとでは、もうあまりにもだらしないわたしの遍路報告は書けなくなってしまったということです。もう随所に涙しながら読み終えた黛お遍路は、いやー、スゴイ!いや、彼女だけでなくそこに登場してくる一期一会のお遍路さんたち、わたしもなんども受けさせていただいたお接待してくださる地元の方たち、すべてが流石にプロというか、そのいきいきとした描写が素晴らしい、またわからないながらも一章につき一句がまた違った趣を味あわせてくれたのです。ともかくそれを読んで、やはり歩かなければだめだ、お遍路は歩いてこそだ、70代、80代の人が、また何回目かの挑戦をしているではないか、と思いを新たにさせられたのです。わたしの軟弱な今回の遍路報告ができなくなってしまったのです。ともあれこの本も一読あれ、です。それでも一応わたしの旅録は偽りなく次回以降書いていきますが、いうまでもなくそんなものは読む価値はありません、、人間のレベルの違いは実に恐ろしい、嗚呼!! (しかしこの本とのめぐりあわせもお大師様のお導きかもしれないのです!?) 

 

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