独歩の独り世界・旅世界

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お遍路 最終回 その1,30番→28番 逆打ち

 チュニジア・イタリア紀行を終わらせてから行くつもりだったお遍路・最終回は、その前に取得していた夜行バスのticketと帰りのjet starの予定変更が有料だったので、当初の予定通り11/16~11/19に決行し、ついにというか、ようやくというか、なんとか第一回目の88ヶ所巡りを終らせることができた。なので、イタリア旅の後半は少々延期させてもらって、お遍路の報告を先にさせてもらうことにした。2~3回くらいで終了させるつもりです、、

 今回、残っていたところ24番~30番は、2区間、距離の長いところがあって、最初からそこは歩けない、歩く気はなかった。いや、もう無理はしないことにしていたのだ。いずれにしろ完全徒歩制覇は、すでに最初から脱落してしまっていたから、あとは逆に如何にできるだけ歩く距離を延ばすかの方にあったので、そんなプランニングを事前に考えていた。そうなるとこの間は2日で歩けるのはわかっていた。つまり28番近くの野市→27番麓の唐の浜間三十数kmは電車、唐浜→26番麓の不動岩間の二十数kmはバスを使うことにすると30番→24番約90kmは2日で十分そうだった。なので今回の行程は以下のように組んでみた。

 出発11/16 21時ころ東京発の夜行バス、11/17 朝時半ころ高知着、みぎした55切符を買う。まず30番近くの土佐一宮までは電車、30番善楽寺が10時ころ、そこからは歩きで12時ころ29番国分寺、28番は遅くとも15時ころには終わせて、電車で唐浜まで、17時ころには宿に入れるだろうと唐浜の宿は予約しておいた。11/18は朝から山登りで、8時ころ27番神峯寺、9:40頃のバスに乗れれば26番金剛頂寺下の不動岩10:30、11時ころ金剛頂寺、12時半25番津照寺、最後の24番最御崎寺は15時ころまでには到着して参拝を終えられるだろうと思っていた。なので、その日の宿も室戸岬最御崎寺遍路センターを予約しておいた。そして、もちろん時間の前後は生じたが、一部公共交通機関を使うことによって予定通りに最後の遍路行を終えることができた。以下、これまでの経緯も含めてもう少し詳細を‥

 これまでに、わたしは5回、区切り打ちで四国を歩いてきた。改めていうまでもないことだと思うが、また、わたしはまだ一回目のお遍路なのでそれほど詳しいわけではないのだけれど、何も知らずにはじめて、無理にいっぺんに回らなくてもいいということを知って(つまりそれが区切り打ち)、それでこれまでに5回の区切り打ちで80ヶ所ほど回っていて、今回6回目にして、漸く88ヶ所をめぐり終えることができたのだった。ま、当初はもちろん全部歩きたかったし、そのつもりだったのだけれど早くも初回に挫折し、そのとき以来方針を変え、無理せずに自分にあった回り方で、しかも何回かけてもいいことを教わっていた。ただ、その初回が去年の夏で、その年に3回挑戦し55ヶ所を終え、今年の春に2回来て、計81ヶ所を終え、残り7ヶ所となったので、なんとしてでも今年中に一回目のケリはつけようと思っていた。つまり足掛け3年にはしたくなかったのだ。先にいったように残り7ヶ所、しかも多少乗り物を使うとなれば、3日あれば何とかなるだろうとの思いがあってのことだった。で、行きの夜行バスと帰りのair、それと宿泊予定地の宿の予約はすべて事前に済ませてあった。そういう意味ではこの日程は、帰りのairから導き出されたともいえたのだった。お遍路に対する見方は、まことに様々で、様々な人が様々な角度から捉えることができると思う。そして、その臨み方も十人十色で、こうでなくてはいけないというようなルールは、あってないに等しい(あるといえばあるし、ないといえばない)。そういう意味でのわたしの基本スタイルは、順序はともかく、歩けるだけ歩いてみよう、それはわたしの旅の延長として、、つまり旅としてのお遍路という捉えかたは、最初の頃にすでに述べていると思うが、これまで信条としてきた貧乏旅の延長ということになる。わたしの住んでる千葉から四国に向かう際にもっともコストがかかるのが交通費である。わたしが年に3回も四国に行けたのは、jet starというLCCの存在を知ったことと無縁ではなかった。タイミングにもよるがこのLCCを利用することによって、片道4000円くらいから成田~松山、成田~高松を往復してきた。で、今回も往きは難しかったので夜行バスにしたが、帰り便が5000円で取れたので、まず11/19の帰りが決まり、それに伴って往路は11/16の夜行バスになったということだった。が、実はこれについては少々失敗している。今回は、東京→四国・高知の夜行バス便を探したのだけれど、時すでに遅しで、これももっと早ければ早割りで6000円ticketは11/16限定め、すでに早割が難しくなっていた。今は夜行バスも結構早くから予約で埋まってしまうようで、ticketがとりにくくなっていることをこの時知ったのだけれど、仕方なく9900円でなんとか高知への夜行バスticketを取得できたのは、それでも2週間くらい前のことだったと思う。ということで、おわかりいただけたと思うがバスのほうが高くついてしまうことは往々にしてあるのだった(ま、夜行バスの場合宿代が浮くという利点も見逃せないのだが‥)。

 さて、今回わたしが利用したバスはKoto bus(kotohira bus 琴平電鉄?)だったが、この路線はJRバスの運行もあって、早割をうまく利用すればJRバスのほうが安いのだけれど、わたしが検索したときは(JRの早割りは売り切れてて?)Koto busのほうが安かった。また、わたしは一度jet star高松→成田の帰り便が欠航になったときに、このKoto busに救ってもらったことがあったので、今回は恩返しのつもりもあってKoto bus利用となった。そして、そのときもそうだったが、今回も3列シートのKoto busは思いのほかよく眠れたのである。今回も11時頃に横浜を出るあたりまでは起きていたが、その後いつの間にか眠って目覚5時頃、12時間乗車時間は成田~ヨーロッパ成田~米国とそれほど変わらないのだバス眠れうしてなのだろうか、。で、名神の集中工事中とかで20分ほど遅れて高知駅BTに8:50着。高知駅みどりの窓口で‘みぎした55’という周遊ticketを5500円で購入した。

一年ぶりの高知駅Img_4943_640x480

 先にもいったが、わたしは軟弱度1レベル?、時々交通機関利用の、そういう意味ではランク2位?のお遍路である。いや、もちろんお遍路にランクなんかない、そんなことは誰も言わないし、言えることではない。しかし、暗黙に誰もが認めているお遍路のランク付けはあるのである。もちろん誰もがそれとなく思っているということで、公式には誰も認めないこと、ただそんな感じとしか言えない、ということをあえて言ってしまうと、やはり純粋歩きお遍路さん、しかも(わたしのような区切りでなく)一回で回ってしまう方、さらにそれを数回、数十回やっている方は実際いて、上には上とさらに位は高くなっていくのだが、やはりこの方々は老若男女を問わず、もし遍路のクラス分けが可能ならば最高位に位置している人たちだと思っている。で、わたしのような軟弱度1レベル、つまり時々ヒヨル、それでも基本は歩きにおいているお遍路を2番目としているのである(この時々ヒヨル、というのも幅は広く、きっちりと定義はできない)。時々いる自転車遍路もわたしはこの位置に入れている。では、3番目はどういう人たちかというと、基本、公共交通機関を利用している人たちということになる。この人たちが歩く距離も馬鹿にならないものがあるからである。ま、そのあとはだいたい想像はつくと思うが、問題はその割合である。たぶんそんな調査をしたデータはないと思うが、つまり信頼できる数字はなく、実態は把握できていないと思うが、わたしが6回で得た感じ(あくまで感じ)で、1位~3位というランキングのつけ方をさせてもらった人々の割合はトータルしてもせいぜい10%くらいではないかと思っている。明らかにトップの純粋歩きお遍路さんは、全体からかすれば1%以下ではないかと思う。で、わたしのいう2位~3位までを入れても10%くらいではないか?、だから、どうなの?といわれても何もない、それぞれができる方法で巡拝する行為に序列はないし、それぞれが尊いと、もちろんいうべきだ。ましてや、お迎えする関係者(お寺、観光業者)にとっては、むしろそのその他大勢がたいへんありがたい存在になっているはずだ。そして、それぞれがそれぞれの立場で、凡人が故の様々な感情、例えば自負・ブライド・尊厳・負い目、といったものを交差させているのもまた事実ではないか?という気がしてならないのである。現に正直いうと(わたしだけかもしれないが)、歩き通している人たちに対しては、スゴイ、エライ、負けてると素直に思うし、逆にツアーで回っている人たちには、いやー、勘弁してほしいな、と思うこともしばしばなのだ。つまりついつい差別視してしまうのだから、まだまだ悟っていない・修行が足りない、といわれても仕方のないところにいるのである。

 なにが言いたかったかというと、そういうポジショニングでお遍路している自らをいっておく必要があるかもしれないと思ったからである。で、あえて言えば、そういうものがなくなるまでわたしはずっと四国を回り続けなければならない、とも思っているのだ。で、時々ヒヨル歩き遍路としては、どこをどう交通機関を利用するかが重要になってくるのである。そこで今回は、前述した区間及び、その前後はもう、バス、鉄道を頼ることにしたので、‘みぎした55‘というticketを購入した、というわけで、回り道をしてしまったが、その説明に入る。このticketは高知~徳島間のJR、土佐くろしお鉄道、高知東部交通が3日間乗り降り自由という切符であった。そしてまさに、今回のわたしの予定ルートがすべてその間にあり、これを使うことによって3日で通過できそうだったので購入した、ということだったのであるが、結果的には高知~室戸岬間の半分くらいは歩いたので、それほどお得キップにはならなかった、つまり必要な区間をその都度その購入したとしても同額くらいで収まったようだったから、前にも使ったことのある四万十・宇和海フリー切符ほどのお得感はなかったのであった。ま、それでも同額程度だったからマイナスになったわけではなく、いちいち購入する手間が省けたという利点?、それだけのことでしかなかった。さて、そのticketを買ってしまったので、まず、30番へは二駅JRを利用し、土佐一宮という駅から30番善楽寺までは1.2km20分、9:45に土佐神社に着いた。というのも最初善楽寺の山門・参道と思ったところは、どうやら土佐神社のものだったようで、まずそこを詣でて、さて、善楽寺も近くのようだったがと探してみたところ、道一本隔てたところにあって(結果的に駅からの距離は変わらず)、ここも神仏習合の地であったのか?、10:10に御朱印をいたたき29番に向かう。逆打ちである。最初地図にあった近道がわからず大通りを行く。20分で分岐、どちらも29番に向かう道だったが、右の細いほうの道を行く、さらに20分で橋のたもとにでた。国分川というその川はたいそう美しかった。が、遍路道はその橋を渡らず左へ、川沿いの道、そして趣のある雑木林の道と、この辺は歩いていて気持ちのいい遍路道であった。30分くらいで今度は少し細い橋のたもとにでる。そこで少し迷う、例によって地図がわかりにくく、まっすぐなのか、橋を渡るのか、で、右の橋を渡ってしまった。そして渡って左へ、今度は国道<32号>の大通りにでた。そこで初めて道を間違えたことに気づく、しかし、まだ救われたのは、どう間違えて、今どこにいるかがわかったからである。で、正しい道にでるためにどう行けばいいか、よくよく見てみると、そのままいっても29番にでられそうなことがわかり、引き返さずに済んだ。それでも、やはり逆打ちの難しさを思い知らされたのは、その間違えたところの正しい選択が、右でもまっすぐでもなく、左だったことがその時わかったからだった。とんでもない間違い、全く反対方向に来てしまっていたのだ。それでも11:50着は、その間の距離が7kmで1時間40分だったから、ま、順当というところだった。

善楽寺の山門かと思ったら土佐神宮の山門?だった、、Img_4946_640x480

そのまま行って土佐神宮を先に詣でるImg_4947_640x480

道の右側に30番善楽寺はあった;3枚
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逢坂峠手前付近から高知市の展望
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国分川小川橋付近、この辺からはなかなか趣のある遍路道になった;以下3枚Img_4953_640x480Img_4954_640x480Img_4955_640x480

 前回まで、参拝しご朱印をいただくのに、だいたい30分くらいかかっていたかと思うが、手を抜いているわけではなかったが、30番、29番とそれぞれ20分ほどで終了し、また歩きだす。前の道を左手に進むと、県道45号線にぶつかったが、その辺りにお遍路さんが何人もたむろしていた。よく見るとそこはバス停だった。ということはそこから30番方面へのバスがあるということだったのか?、いずれにしろこの時、先にあげた公共交通機関利用のお遍路さんも結構いることを知ったのであった。正直いうと当初は、そこから次の28番までは9.2kmあったので、近くの御免という駅まで2.5kmほど歩いて、28番近くの野市というところまで電車を使うことを考えていた。2時間半の距離は、ちょっと長く感じられたからであったが、その時点では、遅れもなく疲れもそれほどでなかったから、歩くことに決めていた。30分くらいのところに休憩所があったので、そこで着ているものを一枚脱いで、家から持ってきていたパンで軽い昼食休憩、いや、千葉との温度差というか、そうとう暑いところだということを感じていた。笑い話になると思うが、そこからまた歩きだして、しばらく行ったところで気温がさらに上がったのか、‘ここは南国だな’とつぶやいていた。ところが、まさか !、そこが南国市だったとは ! ?、なんかの住所表示を見てひとりで笑ったのであった。ま、それでもその辺りまでは順調だった。しばらく行ったところにあった‘松本大師堂’というあたりの、とても絵になる風景が気に入って写真を撮って、細い道の角をいくつか曲がった。地図はそこからしばらく直線になっていたので、そのまま歩き続けた。が、だいぶ行ってから、どうも道は違うかもしれないと気付く。すでに松本大師堂からは1kmは来てしまっていた。人通りの全くない細い田舎道、周りに民家はバラバラ、あとは田んぼだったか畑だったか、太陽の位置から、どうやら方向が違うことに気付いたのであった。つまりどこかの角をまっすぐ行くところを右に曲がって、そのまま道はまっすぐだったので、歩いてきてしまったのだ(この辺が逆打ちの難しいところ)。しかしこういう時、本来は戻るべきなのであるが、戻らなかった。ま、わたしの悪い癖の一つであるが、戻らずに方向を修正して、そして、その先で出会った人に‘この道を行くと、物部川にでますか?’と聞いてみた。わたしはたぶんこの川の名前をこの時覚えたので忘れないと思うが、もし‘出る’という答えならわたしの修正は間違いないことになる。答えは‘出る’だった、が、‘結構遠いよ’といわれる。ま、それは承知のうえ、こうして、わたしは2km30分のロスをして物部川を渡る橋のたもとに着いた。悔しかったのは、その橋戸板橋の下流1kmあたりにもう一本橋があったなら、この2kmのロスは解消されていたことだった。つまり、わたしが道を間違えてたどり着いた物部川の、ちょうど対岸あたりに28番大日寺は位置していたからだった。が、そこにいくには、物部川の川堤を1kmも遡って、その戸板島橋を渡らなければならなかったのであった。

29番国分寺;3枚Img_4956_640x480Img_4958_640x480Img_4959_640x480

松本大師堂付近;2枚Img_4960_640x480Img_4961_640x480

道を間違えてたどり着いた物部川堤通り、対岸に見える一番高い山の山腹に28番大日寺はあった、そこまでこの場から約1時間かかったImg_4963_640x480


 この30分のロスは想定外で、あとあと影響を及ぼすことになった。というのも、最初から野市からは電車のつもりだ、たぶん15:14には乗れるだろう、だめでも15:49には間にあうだろうと予測していた。が、その15:49も厳しくなってきていたからだ。戸板島橋をようやくのことで渡り終えたのが14:30ころで、そこから28番まではまた2km近くあった。この間は疲れもあって遠く感じつつも急ぎ足で、どうにか14:55着、お参りと納経を済ませてそこを発ったのが15:15で駅2km近も急ぎ足で駅着が15:40、何とか当初の予定に追いついたのであった。土佐くろしお鉄道唐の浜着が16:27で、歩くと32km 8時間(普通一日行程)を40分なのだから、ほんとにありがたい話、というか、ここがポジション一位と二位の分かれ目となるところなのである(この差はいろいろな意味で実に大きいのだけれど、それは体験してみないとわからない)。さて、その日の宿は、唐の浜に2件あった民宿のうちの一軒、実はネットの世界では、この遍路宿もそれぞれ勝手なランク付けがなされていて、ま、評判というものはそこそこ伝わっていた。で、ここの宿はあまりよく言われてなかったが、次の27番の山登りには立地上、ここ以外は考えられなかったのだ。で、多少のことは目をつむるとして、食事はそれほど悪くはなかったのである。わたしのランク付け(5段階)でいうと、食事に関して最低のEを経験していたから、それはC評価としてもいいくらいだった。が、総合評価となると宿代が他(平均)より高かったのでDランクとしておきたい、これが逆に他より安めの設定であったなら、総合評価もCになったと思うが、残念ながら他のもっと素晴らしいくて安いところも知っているので厳しくならざるを得なかった。というのもこの世界、つまりわたしの宿も宿泊者の評価に委ねられていて、やはり冷静・客観的な評価は次に宿泊を予定している人の判断材料になると思うからである。それでもその日の宿泊者は、お遍路さん(わたしを入れて)3組、仕事での宿泊者が一組あったことを記しておく。しかし、いろいろな事情で、遍路宿自体が減りつつあることも、今後のお遍路の世界の行く末を思うとき(実はこの地にもう一軒あった民宿が廃業になっていたことも想いあわせて)少なからず気になるところではあるのだが‥、、

やっとたどり着いた28番大日寺;4枚Img_4964_640x480Img_4965_640x480Img_4966_640x480Img_4967_640x480

土佐くろしお鉄道野市駅は高架だった、ここはちょっとした街であった(大日寺方面)Img_4969_640x480


唐の浜到着時が、ちょうど日没時だったので、宿に行く前に浜にいってみた(日没は西方、もう一方の端は羽根岬?)Img_4975_640x480Img_4972_640x480