独歩の独り世界・旅世界

他のサイトに書いていた'独歩の独り世界・旅世界'を移転しました

アルバカーキ・サンタフェ 2012,09,17~18

  アルバカーキはもともと候補地のひとつではあった。ロスアンゼルスから先は予定を入れてなかったが、いくつかの選択肢をもっていた。が、それはグレイハウンドの7日間という期間内の話で、どこまでいけるかどこに寄れるかという限定があった。それともうひとつはその縛りをはずして必ずしもエルパソまでいけなくてもどこかでレンタカーを借りて少し西部を回ってみたいという昔からの夢みたいなものはずっともっていた。西部の荒野を、例えばそれこそレンタカーを借りてでないといけないモニュメントバレーとその周辺は一度は行ってみたい場所のひとつとして残っていた。アルバカーキはそのレンタカーの可能性も残しつつ、それがだめな場合はサンタフェまでならいけるのではないかという希望もあわせての(この辺の事情はガイドブックをもってなかったので、まったく現地に行ってみなければわからなかった)選択地だったのである。

<アルバカーキへの道、国道?40号線は昔のルート66>083_640x480

<アルバカーキの街、バスから>085_640x480

 翌17日の朝10時ころにアルバカーキのバスデポに着き、早速いろいろ情報を収集してみると、いくつかのことがわかった。まず、サンタフェへはバスはないが、そのバスデポはアムトラックAmtrakの列車の駅になっており、その同じ駅からアムトラックではないが、Rail Runnerというローカル鉄道があって、その列車でサンタフェまでいけることがわかった。ところがなんてタイムテーブル何だ!と呪いたくなったが、朝何本かある列車は9時半ころが最後で、あとは夕方16時半までの間運行がないこともわかった。そうなるとサンタフェにいくかどうかはともかく他に考えられる手段はレンタカーしかなくなった。が、それもレンタカーを借りられる場所が空港しかないことを知ることになる。逆にいえば飛行場まで行けば借りられるし、そこへ行くバスもそこから出ていることもわかった、、さて、どうするか‥??いずれの選択にしろ結論を急がれているわけでなかったので、まずはそこでファーストフードの簡単な朝食をとって少し検討してみることにした。まず、レンタカー‥??いやー、一度はアメリカの道を走ってみたいという希望はわたしよりむしろ息子のほうが強かった。しかもその可能性を示唆していたから、彼はロスの観光ツアーのときにドライバー兼社長さんにアメリカの交通法規について聞いたりしていた。しかしわたしも彼も自ら運転してアメリカの道を走ったことはなかった。アルバカーキニューメキシコ州最大の都会といってもかなりのんびりしていたから、道さえわかればどうということはなかったかもしれない、、が、いくらカーナビ付だったとしても言葉もままならないのだからやはりちょっと無理ではないか?厳しくないか?と、わたしが判断してしまった。わたしとしてはラスベガスの一件もあったから(旅の流れが順調に来ていなかったということ)なおさら慎重になったともいえる。レンタカーはまたこの次の機会にしよう、というと彼も納得してくれた。では、その日どうするか?サンタフェへ行くのか?

<アルバカーキのバスターミナル兼アムトラックAmtrak、レイルランナーRail Runnerの駅舎;上、アルバカーキのメインストリート;中、停車中のAmtrakとプラットフォーム;下>091_640x480089_640x480087_640x480

  なぜサンタフェか?サンタフェってどういう街?それを彼は知らなかった、わたしも行けばわかるといって説明をしなかったのだが、わたしは一度そこを訪れていた、もう40数年前の話だが、、また、その後も猿谷要さんの本などを通して何度がそこについて書かれた本も読んでいた。その本にあったのかはどうか不明だが、誰かがいったという、たぶんアメリカでもっとも美しい?素晴らしい?街がサンタフェであるという記述を読んだことがあったし、実際うろ覚えながらそれはその通りではないかとずっと思っていた。さらにできれば40数年前にも訪れていたサンタフェから1時間半くらいのところに昔ながらの住居(adobe)で生活を続けている先住民プエブロの村、タオス・プエブロ(もしかしたら今ここは世界遺産?)にも連れて行きたかったのである。つまりそのためにここアルバカーキまで来たともいえるのだから、何としてもはずしたくはなかったのだった。が、夕方まで足はない、、いや、もし夕方の列車でいったとして、そのあとはどうなる‥??

  サンタフェまではその列車で1時間半、ま、ホテルは探せるだろう、、そこで一泊して明日の午前中それほど大きくはない街だから市内は歩いてみて回れる、が、タオスに行くにはたぶんもう一泊必要となろう、、帰りの列車は13時ころにあって、それで戻れば夕方5時20分発のエルパソ行きのバスには十分間に合う、、そうすると問題はサンタフェに一泊にするか二泊にするか、二泊したらグレイハウンドのパスは使えなくなる、、で、どうする‥?? 16時半まで待つしかなさそうだった、、サンタフェに何泊するかはいった先で決めることにしよう、、という考えを彼も了解してくれた。もう慣れっこになっている4~5時間の待ち時間をわたしは少しアルバカーキの街をぶらついて、彼はそのバスデポではつながったWiFiでなにやらずっと過ごして、さほど苦とはならなかった。そして快適な列車で車窓を楽しみながら、われわれは18時ころサンタフェに着いたのだった。

<Rail Runnerの車内と車窓から3枚>092_640x480110_640x480109_640x480 107_640x480_3<砂漠に生える丸っぽい植物がSage>


 さて、サンタフェの安ホテルである。こんなときネットが役立つというか、わたしはアルバカーキの駅舎でホテル検索をかけてみたが、5000円以下では見つけられなかった。10000円以下で何件かヒットしたそれも場所がはっきりしなかったが、いくつかあることはわかった。駅についてインフォメーションを探したが、そこは駅舎もなく、それらしき建物も見当たらなかった。プラザ(たぶん市の中心)まで行くらしいシャトルバスのドライバーに聞いてみた。親切にこの道をまっすぐ行ったところにあるSage Innというところが安くていいと教えてくれた。そこまでは歩いて10分くらいの距離とのことだったので歩いた。もう、その間にもこの街の雰囲気は伝わってきていた(それは駅に着く前の車窓からも感じとれていた)。また、Sage Innというホテルの名前も数時間前に検索してヒットした中にあったので、もうそこに決めていた。が、料金はダブルの部屋が朝食つきで100ドル、駅に歩いていけること、感じのよさそう佇まい・建物、本当にkindlyなホテル従業員、すべてがわれわれが今まで泊っていたところに比べればランクが上といった感じだったので了解した。ここの印象はすべてよかったが、そこで得たインフォメーションでタオスへ行く公共交通機関はなく、レンタカーもしくはツアー(これははっきりしなかったが)を利用しないといけないということを知り、その時点で連泊はあきらめざるを得なかった。やはりもう一度きてレンタカーで回る必要がありそうであった。
 

 その夜の夕食が滑稽だった。近くに食事をするところはないかとフロントで聞くとお勧めの店を紹介してくれた。それほど高くないという、地図でその場所を教えてくれたのだけれど、それが思ったより遠く、しかもその間に他に食べ物屋はマクドナルド以外一軒もなかった。20分近く歩いて見つけたそこに入る、なかなか感じのいい店だった。メニュウを見て何かを注文した、そしてビール、、ところがそこのウエートレスが息子に対してパスポートを要求してきた。年齢確認のためである。彼はそのときたまたまパスポートを持っていなかった、が、どう見ても30代のおっさんである、、しかし彼女はしつこくID(パスポート)確認できなければ酒は出せないといっている、そんなバカな!?、少し腹立たしくなってきてどういうことかと説明を迫った、、と、これはわれわれの知らないことだったのだが、それは州法で決められていることで、その酒類販売の年齢がなんと30以上でなければならないということだったのである、、わたしは納得せざるを得なかった。そうしてわれわれはその法律に腹を立てながらその店を出たのであった、、帰り道にスーパーがあった、、もうそこで食料を仕入れてホテルで食事するしかないかと寄ってみた。ところがそこには調理済みの食品が山ほどあって、すべてがおいしそう、、しかも和風のものまであるではないか!?さっそく手当たりしだいに注文して、温めてもらったりしてすべてテイクアウトにしてもらった。もちろんビールも大量に買い込んだ、が、それでもレストランで食事してビールを飲んだとしての半額くらいでおさまってしまったのではなかろうか?ところが、またも同様の関門が待ち受けていた、IDの確認である。仕方なくこのビールはすべてわたしが飲むということでそこを通過させてもらった。こうしてその夜はホテルの部屋での大変リッチな晩餐となったのであった、、

 あくる日朝食後ホテルに荷を預けて街に出た。サンタフェの街はその主だったところだけなら歩いて2~3時間で回れてしまう。しかも疲れない、そんな落ち着いた雰囲気の街ながらどこか新鮮なのである、その日も暑からず寒からずで青い空と街全体を覆うような木々の緑と土壁の街並みは、そこがほんとに米国の街であってしかもニューメキシコ州の州都であることを忘れさせる。ま、いうまでもなく、アメリカの西部の地はその昔は先住民の地であり、メキシカンの地であったのだが、そのままの形でずっとこの歴史的な地とその歴史を保存してきている街は他にはないだろうと思う、、それが他に類をみないサンタフェの魅力となっている、、そんな歴史的建造物が残り(アメリカ最古の家とかサンミゲル教会他)、今でも新しい建築を許さない、そんなかたくなな姿勢で守り通すここの人たちの意識の高さ・誇りが、そのままこの街の魅力を守り続けているに違いないことがひしひしと伝わってくる。それは世間も世界も歴史も知らず、そもそもアメリカもわかっていない半人前な息子にも感じられるところだったようだ。彼はそれこそ目を丸くして盛んに写真をとっていたのであった。たった2~3時間の散歩であったが、われわれは心を洗われたような気分になって、ホテルに戻り荷物を取って駅まで歩いた。そして13時発の列車でまたアルバカーキに戻った。そこでの待ち時間は3時間くらいあって、昨日偵察したときに見つけた日本料理だかアジア料理だかの店にいって昼食をとった。サンタフェに満足した彼は、そこでわたしの誕生日を祝ってくれた。ビールとチャーハンとラーメンはこの際なんともありがたい誕生日の贈り物であった。そうして17時半発のエルパソ行きのバスに乗るのだが、それを待つ間に彼はそこで面白いことに気がついていた。われわれはそこからエルパソに出てメキシコに入ってチワワというところまで行く予定だったが、そのバスがここアルバカーキから出ているというのだ。確かにそこの行き先表示にチワワと書いてあった。で、グレイハウンドのお姉さんに聞いてみると確かにチワワへ行くバスはあるという、しかしわれわれのパスでは行けないといわれ、もしチワワまで行きたいならエルパソでチケットを買うようにいわれてしまった。それでそのまま納得してしまったのだけれど、そのときもう少し詳しく何時に出るのか聞くなりPCで調べればよかったのだ。というのは、てっきりエルパソ行きだと思って乗ったバスが実はそのチワワ行きだったのである、、しかしわたしがそれに知ったのはその夜わざわざ乗り換えのためにエルパソで降りて一泊した次の日のことであった、、

<サンミゲル教会;左とその隣辺りにあるOldest House;右>095_480x640_2096_640x480_2

<プラザでの生演奏、これはすばらしかった>097_640x480

<下;たぶん美術館だったと思うが、役所等の公共建物もすべてこんな感じ>
100_640x480

<サンタフェRail Runnerの駅付近とRail Runner>104_640x480