独歩の独り世界・旅世界

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メキシコ・キューバの旅 8)トリニダ

 われわれを待っていてくれたのはシーナイーラという素敵な名前の可愛い女性で、あとで大学生だと知った、バスターミナルから5分くらいのところにあったカサパルティクル・民宿ヘルナンデスHernandez氏宅には、彼女の親父さんが待っていてわれわれを暖かく迎えてくれた、そして必要なら夕食を作ってくれるとのことだったのでもちろん頼んだ、それが前回の写真だが奥さんが特別に腕を振るってくれたようだ、それは格別にうまく結構暑いところだったのでビールが進んだ、、、

 次の朝一番でしたことは昨日到着したバスターミナルに行ってバスの運行状況を調べることだった、その結果明朝7時半にサンチャゴデクバ行きのバスがあることがわかった、またここから直接サンタクララへ行くバスもあることがわかった、しかしいずれも予約はできない、例によって15分くらい前に来るように言われただけだった、、そのバス(サンチャゴデクバ行き)はカマグェイCamagueyに寄ることも確かめておいた、つまり可能性として明日朝発つとしてトリニダからサンチァゴデクバは10~12時間かかるので遠すぎ(もし行くとなるとサンタクララを諦めざるを得なくなる)、逆にサンタクララに直に行くと2~3時間なので近すぎる、となると有効時間活用としてはサンティアゴデクバを諦める代わりに一応世界遺産都市カマゲイまでは行ってそこからサンタクララに戻る、というルートがこの際ベストのように思えたからである、、で、結局そうしたのだけれど‥

 バスターミナルを後にして、そこから5分くらいのところにあった革命博物館Museo Nacional de la Lucha Contra Bandidosに行ってみた、開館は9時で少し間があったが、外から写真を撮ったり前の公園でのんびりとしていると実に時間がゆったりと進んでいることが実感できた、なんとも落ち着く街だった、、しばらく待ってその日の一番の客として入館した、そこは革命博物館ということでゲバラカストロ他当時の関係者の写真・資料・遺品で埋め尽くされていた、かつて修道院だったこの建物には鐘楼があって、その塔に登るとそこからはトリニダの市街をあまねく俯瞰でき、遠くに山がそして海が眺められた、とても気持ちのよいトリニダ一番のview point(お勧め)だった、で、そこからすぐ左手のほうに見えたトリニダの中心といわれるマヨール広場に行くはずだったのに‥

004_480x640革命博物館(上:外観、下:写真一部)
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2011_1228_081132p1030336_640x480鐘楼からの展望
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トリニダは小さな街で、それこそ観光スポットだけ見て回るなら2~3時間もあればそのほとんどは見尽くせてしまうほどの、それでいて石畳・赤い屋根・高い建物がまったくない、といったコロニアルな情緒漂う趣のある街であった、が、今回特に顕著となったボケ?かつてあれほど自信を持っていた方向感覚が、まったく狂ってしまって(それはここだけでなかったのだが)迷子状態になってしまい、革命博物館からマヨール広場に行くのに、なんと1時間もこの街をうろついてしまうという失態をやらかしてしまった、よってわたしへのガイドとしての信頼は地に落ちてしまった、、

 それは錯覚、地図の読み違いから起こったことだったのだが、反対方向に歩き出したため行けども行けども何もない、傍から見ればこの旅行者はどこへ行こうとしているのか訝られただろうが、ま、こちらはあてどなく歩き回るしかなかった、何しろ人に聞くのが極端に嫌いな性質だったからそのうちどこかに出るだろう、といつものように何気なく歩いていたのだが、そのときはツレがいたので言い訳がきかなくなってきた、で、結局どっちがどっちだかわからなくなってしまい、仕方なく地元の人に聞いてやっとその地にたどり着くことができた、何のことはない、そこはたった5分の距離だったのだ、、

2011_1228_084314p1030339_640x480裏通りの風景090_640x480街の中心マヨール広場に立つサンティシマ教会
 

 ま、それでもこの素朴な土地の、のんびりした風景、レンガ積み家屋の佇まい、馬車の行き交う石畳の通り、飾らない人情豊かな住人たち、、その魅力はこの街の浦々からも伝わってきた、、引き替え観光客で賑わうマヨール広場周辺は別の顔で、それでもこれまであまたの観光地を見てきた目にはずいぶんとのんびりしていると映ったものだ、その広場の周囲にはサンティシマ教会、ロマンティコ博物館、グアムアヤ考古学博物館、市立歴史博物館、建築博物館といった、それぞれに見ごたえのある収集品・展示品が由緒ある建物に納められていた(すべて入館してみて回ったわけではないが、それらの建物はすべて歴史的建造物であった)、そして土産物屋、レストラン、夜にオープンするライブスポットが3ヶ所、すべてその広場の周辺にあった、、その辺をぶらついているだけで飽きない、、その市立歴史博物館の建物の塔から再び市内を一望したり土産物を物色したりしていると早、昼食時となった、、

018_640x480市立歴史博物館の塔から革命博物館方面を望む
 

 レストランは何軒かあったがどこにするか迷っていた、ガイドブックにあったカンチャンチャラという飲み物(ラム酒のようなお酒がベース?それに蜂蜜・レモンが入った飲みやすいお酒)を飲んでみたいと思っていたので、そこで食事もできるのかどうかわからなかったが、そこへ行って見ようかと考えていると、目ざとくわれわれの表情を見て取ったある男が食事するならお勧めのところがあると声をかけてきた、、一応耳を傾けてみるとそこはそのカンチャンチャラを飲ませる店の隣にあって、そこでもそれを飲むことができ、しかも食事もできる、料金もそれほど高くない、カンチャンチャラを飲ませるお店は朝からオープンしているのだけれど昼間っからバンドが入っていて、その隣だから音楽も聴くことができる、、何かいいこと尽くめであった、そのときは騙されたつもりでその男に従ってしまった、、そしてそのレストランのお勧めだという料理とそのカンチャンチャラとを頼んでみた、ただし料理のほうはちょっと高めだったし一人前にした、、待つこと30分、いやそれ以上だったか、ま、隣のバンドの音楽を聞きながらお酒を飲んでいたのだからその待ち時間は長くはなかった、、そして、それは待たされた甲斐があったというものだったのだ、、

2011_1229_030831imga0180_640x480094_640x480_2カンチャンチャラの器

 料理を説明するのはなかなか難しいから写真を載せるのが一番と思われるが、ま、正直いってあんなデカイ伊勢えびを食べたのは初めてのことだった、、その大皿にはほかにも海老(エビlangostinがどこでも食べられた)や魚が乗っていて二人で食べて大いに満腹・満足したのであった、ここに至って、ま、今回その変化には気づいていたのだけれど、12年前のキューバでの食の記憶があまりよくなかったから、食事に関してはほとんど期待はしていなかった、が、その予測はいい意味でまったく裏切られるということになった、、それどころかそれまでの何日間かもそうだったが、その後ずっと、トータル的に見てメキシコ・グァテマラも含めて、キューバの食事が一番良かったという印象を今回は持つに至ったのである、、その中でもこの時の食事がベストであったことはいうまでもない‥(今、当時使ったガイドブックを見ていたらレストラン情報に、そのカンチャンチャラを飲ませるお店とその隣のレストランが紹介されていた、が、われわれがいったお店は逆隣の店、よってガイドブックに載っているお店ではありません、、)

 やはりおいしいものをしかも安く食べられたときの満足感は人を幸せな気分にさせる、、その料理は通常20cucのところを15cucにするということで勧誘にのったのだが、それにカンチャンチャラ・ビール・ミネラルウォーターを頼んで22cuc(2000円くらい?)は安すぎた、、おうおうにしてその土地の好悪は食べ物で決まるというのもあながち誤謬ではない、、こうしてトリニダの印象もあわせてアップすることになった、が、それはこのときにとどまらなかった、、もうひとつの期待は音楽であった、是非生のキューバ音楽に接してみたいというのがキューバそしてトリニダ来訪の大きな目的のひとつであった、、特にその時点で、もうひとつの音楽の中心サンチャゴデクバには行けそうになかったからである、、われわれは音楽に関してはまったく素人であったが、映画‘ブエナヴィスタソーシャルクラブbuena vista social club’を絶賛していた、少しでもその真髄に触れてみたい、、

  3ヶ所あったライブスポットはどこも8時頃からオープンとのことであった、が、その前からそぞろ歩きしてどこが良さそうか偵察していた、どうも食事ができそうなところはなかったが、で他で食事を済ませて入ればよかったのだけれど、あまり空腹でなかったので食事をせずに一軒のお店に入った、、一軒は野外でその時点では、まだオープンしていなかったしちょっと寒そうだったのでわれわれはライブハウスを選んでいた、そこはPalenque de los Congos Realesというところで、もう一軒はCasa de la Trovaといった、三つのお店はそれぞれ店によって音楽が違うようでもあり、素人のわれわれには同じようにも聞こえた、その3ヶ所はほとんど隣どうしといえそうなくらい近接していた、8時から始まったステージはまったく気取りなく陽気なキューバ音楽が流れた(日本でいうといわゆるラテンのナンバー?)、コンガ(太鼓)を奏でるこの道58年というわたしと同年代くらいの陽気なジイさんを中心したこのバンドは‘Estrellas de Trinidadトリニダの星’といってボーカル女性1名を含む8人編成であった、もちろんその音楽レベルは高く、そのメンバーの一人ベースを担当している若者(といっても30代?、普段は馬車を操って生計を立てているといっていた)が休憩のときにわれわれのテーブルに来て自分は日本に何回も行って演奏したことがあると気さくに話しかけてくるのであった、、あっという間の2時間、ビール3本飲んで6cuc、バンドへのチップを要求されたが(特に入場料がかかったわけでないので)それは彼らのCDを買うことで免除された、、CD代を入れても二人で15cucでキューバの夜を、キューバの音楽を楽しめたことになる、もう一泊できれば明日は別のお店へ‥そう、ここは数日間滞在してゆっくりじっくり味わい深いキューバを堪能するところのように思えた、、

(ステージは延々と深夜まで続くのだけれど、次のグループはあまり面白くなかった、外に出るとほかに2軒もまだガンガン音楽が鳴り響いていた)

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彼らのステージとわたしと同年代のバンドリーダー粋なおっさん、、