独歩の独り世界・旅世界

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山レポート 13) 赤岳 2899m ・横岳 2829m

ブログネタがなくなったので、そろそろどこぞへ出かけなくてはとずっと思っていたのだけれど、何しろこの暑さ、たしかに2500mを越えれば涼しくなるのはわかっていても、それではどこへと言われると日程・予算・体力にかなったところがなかなかない(ちなみに温度差高度1000mで6度低くなると言われている、3000mのところでは地上との温度差なんと18度 ! !)

そんな折たまたま知人の車に便乗して千葉・山梨が往復できそうになり、その山梨に弟がいて日程的に宿泊OKとなったので、それでは南(アルプス)にするか八つ(が岳)にするかの選択になった、弟の住まいはちょうど甲斐駒の登山口近くにあるのだが、一度は登っているあの黒戸尾根をもう一度登ってみる気にはならなかった、知る人ぞ知るハードコースで今の体力では自信がなかった、で車で3,40分の八ヶ岳に再度登ってみることにした、八ヶ岳は初心者でもアルペンムードを味わえる人気の山で最高点が赤岳の2899mと3000mに近い高度がある、夏山だったがすでに一度足跡をしるしており、またバリエーションルートの多いこの山域には過去に2、3度訪れていた、がそのいずれもが茅野側の美濃戸口から入る(or出る)ルートだったので今回は逆から登ってみることにし清里または野辺山からのルートを検討した、その結果より楽そうでより人の少なさそうな野辺山からのルート杣添尾根を行くことにした、登山地図によると駐車場から稜線まで3時間15分だった

山行記録 ; 2010年8月23日 杣添尾根登山口(駐車場) 10:00 遊歩道歩き 10:20 堰堤、山道に 10:50 小休 10:55 樹林帯 11:25 小休 11:30 樹林帯 12:10 昼食休憩(樹林帯) 12:30 樹林帯 13:15 小休 13:20 ダケカンバ 13:30 森林限界超える ハイマツ帯に 休憩・写真 13:40 いっきの登り 稜線に 13:50 三叉峰 しばし休憩・写真 14:10 鎖・梯子の稜線歩き 14:50 地蔵尾根分岐 15:00 赤岳展望荘着

2010年8月24日 起床 4:30 日の出 5:10 展望荘発 6:10 赤岳山頂 6:50 山頂発 7:05 展望荘着 7:30 発7:35 横岳山頂 8:35 しばし写真・休憩 晴れ間待つ 山頂発 9:05 三叉峰発 9:20 下り始める 9:55 小休 10:15 昨日の昼食休憩ポイント通過 きのこの写真を撮りながら下山 11:45 堰堤 12:05 駐車場着 稜線まで登り3時間45分 下り2時間45分

 結果から言うと登り30分下り45分もコースタイムをオーバーしてしまった、今回の登山を振返ってみよう、いわゆる登山地図上のコースタイムはあくまで参考の平均タイムだからそれほど気にすることはないのだけれど、これまでの山行にひとつの目安・バロメーターとして参考にしてきて当然のことながら若いときは30分~1時間も早く、最近でも何とかコースタイム内を保ってはきていた、うーんこの日決して体調は悪くなかった、記録を振返ってわかることは出だしのほうが休憩に至る時間が短い、理由は二つ、やはり感覚・身体の慣れのようなものが一つ、もうひとつは暑さと湿気、高度が低い樹林帯の暑さと湿気は相当なもので上に行くほど快適になる、そのあたりで苦しんでいるとき実感としてわかったのだがこれがいわゆる熱中症なのではないかと気がついた、それまで熱中症を経験したことがなかったのでその症状がどんなものかわからなかったのだ、がそう思ったとき次々と思い出していた、何年か前の妙義山、一昨年の白毛門、真夏の最中の低山で苦しんだのは、あれはみんな熱中症だったのか?そう言われれば妙に納得がいく、いまさらながらそうだったのかと思い返しながら歩を進める、熱中症対策はまず水分の補給、がこれまで普通の人の半分以下しか水分は取らないできた、この日持参した水分も500mlが2本、結局それで途中山小屋での補給も沢の水の補給もなしに下まで降りてまだ少し残った、最初の半分2時間くらい難儀したが昼飯を食べたあたりから少しづつ調子が出てくる、しかしこのコース結局最後の10~15分を除いて3時間半ずっと樹林帯で実に楽しみの少ない地味なルートであった、その所為か、ま予測してたことだけど&それも狙いの一つではあったが四季を通じて登山者の多い八ヶ岳で出会った人が一人だけ、そういえば人気のある山の駐車場は普通どこもいっぱいで、たいてい路上にはみ出して駐車しているのだけれど、なんとここはわたしの車の他には2台しか停まっておらず、あと数台分のスペースを残していた、だから登る前に静かなコースは予想されていたのだが‥

 稜線直下ハイマツ帯にでると一気に展望が開け真上が三叉峰、左手ちょうど同じくらいの高さで赤岳展望荘、その上に頂上小屋、右手に横岳から硫黄岳に至る山並が見渡せた、しかし反対側は雲が湧いてきていた、一登りで稜線に、三叉峰2825mからの眺めは時折雲が晴れ赤岳頂上が顔を出すといった按配で360度というわけにはいかなかった、しかし雨の心配はなかったのでしばし休憩、流石にこの稜線を行き来する人が何人か見えた、と座り込んだ岩場の後ろでなにやら動く気配、いたちの子供?くりくりした図体にくらべて異常に大きな目をした小動物(名前知らず)が岩陰から出たり入ったり、たっぷり愛嬌を振りまいてくれすっかり疲れが吹き飛んでしまった、何枚かの写真を撮り稜線を赤岳展望荘に向かう、ここから10分の横岳は視界いまいちだったので明日にまわした、硫黄岳から赤岳頂上に向かう稜線は鎖・梯子が何ヶ所もあるなかなかの難ルート、それでもこの鋭鋒群に一般者用にしっかりした鎖がつけられているのでありがたい、だからこのコースは同伴者がいるなら初心者でも踏破できるコースになっている、例によっておばさん&中高年パーティと何組も出会う、小一時間で展望荘着、人気の展望荘も流石に夏も後半おまけにウィークディだったから超満員ということもなく、大部屋だったが7人部屋に2人と良心的な配慮をしてくれた、200人収容の山小屋のこの日の登山客40~50人といったところか、客も従業員も多少の余裕が持てる人数?食事の時間におもしろいことが起こる、早く着いた大人数のグループの一人がすでに酩酊状態で食堂に寝転がっていた、それを見た支配人にわかに飛んできてその張本人はおろかグループ全員たたき出してしまった、金は返す、今の時間なら下の行者小屋まで降りられる、他の人の迷惑を考えろ、それが常識だ、山男である前に立派な人間であらねばならぬ‥言い返すもの一人もなく彼らは立ち去った、こんなハプニングは初めてだったが立派なもんだと感心した、きっと彼には矜持があったに違いない、ま競争激しい山小屋の世界にあって、ずっと人気を維持しているここ展望荘はそれなりの理由があると初めて泊まったのだがよくわかった、第一はその名の通りその展望にあり第二に食事、なんとここは朝夕ともバイキングなのである、そしてお茶コーヒーが飲み放題、第三わたしは入らなかったが、2800mの山小屋で風呂(五右衛門風呂)に入れるのだ、そして第四今やこれはどこでも定着化してきているがその個室の割合の多さ、そういった先駆的努力が今日の展望荘人気を支えていると思うし、またそれなりの矜持があってしかるべきと、そんな光景を見て実感、そしてバイキングの料理品数豊富味は抜群の食べ放題だから、ここは山小屋かと疑うものがいたとしても決しておかしくないのである

 あくる朝、普段の行いがいい所為か、昨日のあの夕立が嘘のように上空には雲ひとつなかった、それにしても昨夕小屋の中から眺めた突然の土砂降りには山の天気の変わりやすさその怖さをあらためて目の当たりにさせられ小屋の中にいられた幸運を感謝した、でこの快晴、といってもまだ日は出ていないのだがそれほど寒くなく日の出を待つ、下界は雲で覆われ一面の雲海から日は昇った、荘厳な夜明け、だんだん赤岳と頂上小屋が朝日に染まる、そして阿弥陀岳に日が射す、山の夜明けは素晴らしい、天気に感謝、朝食も美味しくいただき6時過ぎに小屋を後にしひとまず赤岳山頂へ約40分、ここでも天気は崩れておらず360度見渡すかぎりの展望、南アルプスまでは見えたのだけれど、富士山・北アルプスが見えるほど澄んだ空気ではなかった、ま夏場はこんなもんだろう、前回の赤岳頂上はどうだったか思い出せぬまま、その展望を今回はしっかり目に焼きつけカメラに収めて下山開始、車登山の悲しさ来た道を引き返した、昨日寄れなかった横岳2829mに着く頃にはもう雲が出てきて硫黄岳方面の展望はきかなくなっていた、赤岳方面も雲がその姿を隠したり浮かび上がらせたりしていた、9時半ころには再び樹林帯を歩いていた、ガイドブックには下り向きのルートとあったが、確かに急なところはなく下りが苦手なわたしにもそれほど負荷がかからなかった、それでもコースタイムより45分もオーバーしたのには理由があった、最近はどこの山でも下りはコースタイムをオーバーしている、実は45分の半分くらいは写真を撮っていたからであった、登りのときにすでに気がついていたのだが、その余裕がなくネーミングだけして通り過ぎたその道はなんときのこ道だったのである(そのネーミングとは単純に杣添きのこ道orロード)、まったくきのこは知らないし植物の類の写真も撮ったことがなかったのだけれど、これほど多様に次から次へと現れていたので、帰りに写真を撮ってみようという気になっていた、そして詳しい人がいたら聞いてみようと見つけるたびに撮っていたら20枚を越え(もちろん見栄えのしないのとか朽ちてきているようなものは除外)しまいには先に撮ったものは判別できるようになり同じものは撮らなくなった、ということで未だきのこ開眼には至らないが新しい楽しみが発見できた山旅であった、きのこの写真は詳しい人に見てもらうことにして、とりあえず山の写真を少々‥

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