独歩の独り世界・旅世界

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バンコク~シェムリアップ 6)

 今手元に、いまや日本最大の旅行代理店となった某社のアンコールワットツアーのパンフレットがある、5日間で69,800円~89,800円、高級ホテル泊、食事つきアプサラダンスのディナーショーまで含まれている、もちろんガイド付きでほとんど完璧にアンコールワットの遺跡をカバーするこのツアーは一見して安いと思った、われわれ貧乏旅行者のいけないところを大人数がゆえにバスで安く効率的に回れるのがなんといってもツアーのメリットだ、負け惜しみでわたしはのたまう、同じところを巡ってもツアーと貧乏旅行とはまったく別のものだ、ということを~

 さて、それでもこの旅行会社のツアーは(当然のことながら)現地をよく知っているものが企画していることがよくわかる、別のガイドブックによればアンコールワットの見方として駆け足の2日からのんびり1週間くらいのコースが想定されているが、わたしの実感としては3日が限度かなぁと思った、理由はともかく暑くてけっこうしんどいのとだんだん飽きてくるということ、それぞれ個性的な遺跡が散在しているのだけれど、そのうちどうでもよくなってくる、行く先々で写真を撮るのだけれど印象はだんだん薄れてくる‥そういう意味で中3日のアンコールワット滞在1日目に主要遺跡を巡って2日目に郊外へ3日目はトンレサップ湖のクルーズまで入っていて参加者を飽きさせない、しかも食事つきでこの値段はお値打ちものだと感心させられた、で、実はわたしも3日目はトンレサップに向かっていたのだ(もちろんこのパンフレットを見たのは今年になってからのことです)

 トンレサップ湖シェムリアップの南10km位のところにあるまるで海のような湖だが、雨季には乾季の3倍ほど大きさになってまさに海のようになるらしい、ここからカンボジアの首都プノンペンまで船で行ける、そしてその船着場にはクルーズのボートもたくさん舫っていた、2日間の遺跡めぐりに飽きたわたしは、それでも何とか稼ぎのほしいドライバーから半日でも仕事をさせてくれという依頼を断りきれず、もちろんそれまでの半額の日当でトンレサップ行きを提案した、朝方シェムリアップの町に向かうバイクの群れとすれ違う形で30分バイクの風は心地よかった、途中から見え始めた丘がトンレサップ湖畔のプノンクロム遺跡、約20分の登りは朝から一汗かいてしまった、がこの遺跡たまたま同時刻に居合わせた日本人の3人組(言葉は交わさなかった)の他は誰もおらず、まったく静かで昨日までの観光客の賑わいを思うとなんとも落ち着くところだった、しかも眼下のトンレサップの眺めにも癒され、遺跡に咲く花々にもまた癒されるのだった(茶色い大地と石造りの遺跡には、湖の青と赤い花々はそれまでにない新鮮さがあった)、存分に景色を楽しみながら下に降り、湖上生活者の掘っ立て小屋のような住居、湖上の学校を両側に見て船着場まで、しかし昨日の高床式の住居よりもっと粗末な家屋のほとんどには電気の配線が確認できた、もしかしたらテレビのある家もあったかもしれない、ということは昨日のシェムリアップ北部郊外の家々に電気が届くのもそう遠いことではないように思われた、そんな家並みを割って観光バスが到着し船着場から観光客を乗せたクルーズ船が出て行く、ま一人旅はそれを眺めてその場を後にする~

 午後はのんびりを予定していたが、昼食に出たついでにシェムリアップの町を散策、シェムリアップ川河畔は宗主国フランスの面影を醸し出すプロムナード、そしてオールドマーケットで土産物の探索、ホテルに帰って昼寝、夕方目が覚めて夕陽を撮りに行こうと思い立った、もうバイクを雇う予算がない、それまで多少相場より多めに払ったのだから1時間くらいバイクをサービスしろとドライバーに迫ったが、このときはオーナーがそばにいてOKされなかった、仕方なく自転車を借りることにした、一日2ドルとのことだったのであと2,3時間だからと1ドルにまけさせ、夕陽の間にあいそうなところプノンバケンにするかプノンクロムにするか、どちらにしてもそれほど時間がない、結局今朝行ったプノンバケンに向けて猛烈な勢いで走り出す、そして初めて気づく、そうだこの手があったではないかと、自転車だったらバイクの10分の1で廻ることができたと‥しかし、それはそれカンボジアの若者と話ができ彼らの稼ぎに少しでも貢献できたではないかと、ともかく一目散に夕陽に向かって走る、自転車からの風景はまた違って道路が舗装が充分でなかったことや夕暮れ時の商店の様子、子供たちの学校帰りなどを見ながらそれでも小一時間でプノンクロムの丘が見えるところまで来た、トンレサップの一画に陽が沈みだす、適当なショット位置を探し自転車を道端において下のぬかるみに降りて数枚撮ったが、アンコールワットの落日にはならなかった、それでもこの3時間あまりのレンタサイクルは適度の疲れと違った発見がありシェムリアップの街にもどったときはすでに闇に包まれていたが、その日の夕飯、かねて食べたいと思っていたカンボジアの鍋料理とビールをうまいものにしてくれた‥

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