独歩の独り世界・旅世界

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アメリカ・メキシコ・キューバの旅 23) ハバナ 2

 最近、世界をよく歩いている知人とある発展途上国の話になって、その国ではバスに乗るのは必死、まさにわれ先の生存競争のようなもんだという話しを聞かされた、確かにバスは、その国を見る指標としては格好の対象物といえるかもしれない、どのくらいバス網が発達・整備されているか、バスの車体はどのようなものが使われているか、混雑具合はどの程度か、そして乗り方、外国人も使いやすいか等々、以上のことを見ているとその国の事情がわかってくるというのはわたしも経験していることである、またその国の人たちと同じようにバスを乗りこなせたら、それはもう旅行者の域を脱したといえるようにも思う

 またわたしはいつも旅しながらこんなことも考えている、ほんの一部の例外を除いてどこの国でも以下の公式を当てはめている、即ち経済性(A)+精神性(B)=100、まったく適当な方程式であるがもっともAの高そうなアメリカは90の物質的豊かさを持っているが、その分人を思いやる心の豊かさは10まで下がってしまう、日本ももっと貧しかったころ、もっと豊かな精神性を持っていたような気がするのだが‥

 結局きちんとバス待ち客のあとに並んでいたものの、来るバス来るバスみな満員状態でバスで町まで行くことは諦めた、どうもその当時の記録を見ていると両替に苦労している、他の社会主義の国で経験済みだがここも旅行者に対して二重価格制を取っており、つまり押しなべて支払いは旅行者価格、しかもほとんどドル建てであった、わたしの失敗はドルのキャッシュを持っていなかったこと、よってトラベラーズチェックをキャッシュに変えるのに2%もの手数料を取られたことが貧乏旅行者にとってはショックなことであった、そして町までのタクシー代が5ドル、完全な旅行者価格であった、そして手に入れたハバナの地図が3ドル、しかし地図を手に入れて歩き始めたハバナの街はそれはそれは味わいのあるというか、海風さわやかで心にしみいるような街並みであった、ともかく歩いた、オールドタウンの古い建物を縫って一筋一筋くまなく、街が醸し出す雰囲気に酔うような感じになって、画廊や本屋(ゲバラの本が目に付いた)土産物屋もある、観光客も多い、と、ちょっといかつい感じの男が声をかけてきた、いつもながら警戒しながら相手を見る、モヒート飲んだかって言っている、なんだってモヒートって何だ?知らないのか、ヘミングウェイが愛飲したのものだよ、ハバナの名物で別名Hemingway Drinksとも言われている、じゃ、飲まないわけにいかない、どこで飲めるんだ?というわけでまんまと彼の手口に乗せられてしまった、町のカフェのようなところで、彼は彼の分も含めて2つそれを注文、もちろん支払いはわたし、少し疲れていたのでちょうどいいタイミングでもあったし珍しいものが飲めたということで、その出費は決して痛くはなかったと同時に彼への警戒心も解いていた、味は覚えていないが記録によると砂糖・レモン・ミント・ロン・アグアラシオサ(?これはなんだか不明)を混ぜたもの?ま、リキュールだったと思う、一息ついて彼から情報をいろいろもらう、そこでわかったこといくつか、要するに彼は失業者でひがな仕事を捜しているのかこのあたりでぶらぶらしているのか、でも貧しいながらも何とか飢えはしのいでいる、つまりそれがやはり社会主義の社会たる所以・施策のなせるわざか?確かにこの国の物質的貧しさは街を歩けば容易にわかるし、スーパーに行ってもものはそれほど並んでいない、でそれを人々は決して満足な状態とは思っていない、が彼らはそれを表に出さないばかりか、どんなに貧しかろうが底抜けの明るさを失わないという民族の徳性を備えているようにわたしには見える、知り合ったばかりの中年に近い陽気なオッさんRene氏からは決して物乞いはしないという誇りさえ感じられた、そう彼は純粋なボランティア精神で、そのあと当時のまま残されているというHemingways roomのあるhotel Ambos Mundos 511号室に案内してくれ、近くの国立美術館や城砦跡から海風を心地よく感じながらハバナ港を行き来する船を眺めたりした、彼にとっては適当な暇つぶしとなったのかもしれないしわたしにとってはちょうどよいガイドであったわけだが、彼は決してチップを要求してこなかった、そこでわたしからひとつの提案をして彼とは別れた、それはこのあとわたしは他の町へ行ってみるつもりだが、13日に戻って15日にキューバを発つ、よって14日の晩、オレが晩飯をご馳走しよう、という提案だった、もちろん彼はそれを受諾してくれた、果たして彼は約束を守っただろうか?

 その日の午後、彼や他の人たちから情報を聞きだして(彼をはじめとしてほとんどの人はわかっていなかった)明日行くつもりのサンタクララ(SantaClara)までのバスの切符を買いにバスターミナルを捜した、教えてもらった地図上の場所はかなり遠くどうやって行けばよいかまったくわからない、地元の人ならバスで行くところどのバスにどこから乗ればよいかわからない(たぶんそれも教えてくれたと思う、何しろキューバ人はみんながみんな親切)、タクシーも使いたくなかったので歩いた、途中で日本語で声をかけられたことがあった、びっくりした、日本語勉強中とか言っていた、その人にも場所を確かめながらさらに歩いて2時間くらいかかったであろうか、バスターミナル(バス会社?)は見つかった、ViaZulというバス会社はキューバ唯一の長距離バスの会社だったのかもしれない、一日何便づつかそれぞれVaradero、Trinidad、Santiago de Cubaへのバス便があった、明日サンタクララに行くには15時発のSantiago de Cuba(これ1便のみ)行きのバスで行くしかない、早速予約、その時バス会社の人から宿は決めてあるのかと聞かれた、決まってないと答えると民宿のようなところを紹介してくれた、あり難かった、住所を控えてまた歩いてCentro(中心街)に戻った、ホテルに戻っても何もないところだし食事も高くつくので、絵葉書を買って手紙書いたりして暇を潰す、夕食はほんとに世界中どこにでもある中華街を見つけたので、久しぶりにキューバ風中華を、ハバナの夜はなんとも艶かしさがあるのだが、今夜の宿泊場所は昨日のホテル(ツアー代に含まれている)だったのでまたタクシーを使って戻った、ツアーがよかったかフリーがよかったかの分かれ目はホテルに関してはフリーの方が街中のホテルを選べる利点あり、ただし若干高額(1日20~30ドル)、問題は空港~街中までの足の問題、これはツアーに利あり、トータルコストとしてはやはりツアーのほうが安そうだが、ホテルの立地はコスト以上に重要だったかもしれない‥