独歩の独り世界・旅世界

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<炎天下のお遍路 失敗に帰す> 初日44番大宝寺 45番岩屋寺  

 この記事は書こうかやめようか迷っていたのだけれど、いつものように書けるところまで書いて見ようと思う、ま、駄作になるかもしれないが…

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松山空港着陸直前

 

 新型コロナウィルスの勢いは依然衰えず、それに加えて連日の猛暑、おそらく誰にとっても、そんな状況下でお遍路を考える人はいなかったかもしれない。しかし、ところ変われば(変わらなかったが)、あるいは5年前の同月同日には実際歩いていたし、フライトの変更もできなくはなかったが、それをやると復路便もホテルの予約もキャンセルしなければにならない等々で、少々躊躇いながらも8月28日、わたしはいつものjet starで松山まで飛んだのだ。成田~松山は6000円、乗客は当然100人には満たなかった。この時期のフライトはほとんど定刻には離陸して、定刻より多少早く到着しているようだった。松山には定刻より10分早く9:55に着いたが、それに合わせてバスが早く出てくれるわけではなかったから、仕方なくわたしは、普通だったら絶対利用しないタクシーを使ってJR松山駅にでた。タクシー代は2000円弱、もちろん釣りをいただくわけにはいかない、バスだと470円がタクシーだと4倍というところか?そのバスは10:20発でJR松山駅着10:35である。わたしはこの時どうしても松山駅10:30発の久万高原行JRバスに乗りたかった、いや、乗らなければならなかったからである。そのバスを逃すと次が12:50発、そのバスだとその日の予定、そしてそのあとの予定が、すべてめちゃくちゃになってしまうからであった。そのためタクシー代の2000円はやむを得なかったのである。

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JR松山駅

 タクシーだと松山駅には10:10には着いたから余裕はあり、もう一つ懸案事項であったJR四国の'四国再発見早得切符'8月30日日曜日限定というticket2100円も取得できた(二日後の使用予定のticketだったが、もしこれを使えればタクシー代の元は取れるのだった)。JR松山駅~久万高原間は一日6~8便で乗車時間70分、しかし何はともあれ、現在愛媛県景勝地、いや我々にとっては八十八ヶ所の寺44番大宝寺、45番岩屋寺上に行くにための交通手段は、このバスしかなかったのである(実はわたしの初お遍路は、5年前の月日も同じ8月28日に、わたしは松山からこの久万高原まで歩いて来たのだった。そして次の日今でも親交のあるH氏と44番大宝寺で遭遇する話は、もちろん当時のブログに残っているはずである)。

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JR四国バス 久万高原バス停

 5年後のこの日、すでに歩いて回る気力も体力も失せて久しく、しかし2回目の八十八ヶ所お遍路も大詰めに近く、徳島県以外で残っていたのがこの愛媛県の44番と45番だけになっていた。なので、この2か所は、それこそバスを使ってでもなんとしても回りきらなければならない最後の難所の一つとして残っていたのである。で、その日をいつにするかはもうだいぶ前から決めかねていたのだが、コロナ禍のもと民泊は閉鎖状態で暇つぶしのネタも尽きて、ついついフライトのticket情報をチェックしてしまい、少し小康状態になった6月に(2か月先はもう少しよくなっているだろうという)わずかな期待を込めてticketを取得してしまっていたのだった。この夏がコロナ禍だけでなく、異常な暑さに見舞われることも知らずに・・、、そしてこの日11:45JR四国久万高原バス停(そこはちょっとしたオフィスもあった。ちょうど5年前に泊まった宿の隣だった)に着いたわたしは、ある程度地理は知っていたからすぐに44番大宝寺に向かう。バス停からは1kmくらい、多少登りだが、大したことはないだろうと高をくくっていたが、それでも20分ほどかかってしまった。途中一人のお遍路さんに出会ったが(歩きか車かは不明)、それっきりで人の気配のない境内で少し休んでからの参拝となった。その20分の歩きでも結構疲れてしまったからであった。一通り巡拝・納経を終え、前回は歩いて行った45番岩屋寺へはバスで行くことにしていたから、この間を走る伊予鉄バスのターミナルへ、このバスも一日4本くらいしか走ってなかったから、次の14:35以外の選択肢はなかったのだが(それに乗るためにもJR松山駅発10:30のバスは必須であったのだ)、そのために1時間半の休憩&昼食タイムが取れたのは有難かった。そこはそこを起点にした何本かの路線の発着所になっていたが、その本数も限られていて、また、利用者も極端に少なそうであった。それでも隣接していたローソンで昼食を仕入れてその場で食すにちょうど良い待合室があって、冷房の効いたその待合室で一人、しばらくの間待機となった。前回来た時にはあったかどうか記憶は定かでないのだが、近くに'道の駅天空の郷さんさん'というところがあって、荷物を置いたままそこへも出かけてみた。意外にもそこはけっこうな賑わいで、わたしもそこで貴重なもの(その後どこでも見つけることができなかった石鎚山の絵葉書)を手に入れることができた。

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大宝寺参道、久万川を渡ると山門、さらに数百mいった山中に大宝寺

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仁王門への登り

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5年前 松戸の早東さんと出会った仁王門

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手前本堂、奥が大師堂

 定刻にでた伊予鉄バスは5年前に3~4時間かかって歩いた区間を15分で走り14:50岩屋寺麓のバス停で下車した。そのバス停からの登りは、前回は別ルートから入って下りに使った道だったが、その時の記憶は鮮やかに残っていて、この道を登るのはけっこう大変だと覚悟はしていた。実際下りで20分、登りは30分くらいかかったのではないか?岸壁を穿った修行場をいくつも持つこの45番岩屋寺は、さらに大師堂奥の背後の岩山に逼割禅定といった鎖場などもあって、八十八ケ所の中でも特に危険な修行場として知られている。山全体が修験道の行場のようである。その本堂までたどり着くのに精いっぱいだったので今回は、本堂脇の梯子を登ったところの岩壁を穿った修行場までは登らなかった。前回は八丁坂を通って尾根筋から2時間くらい歩いてきた記憶があるが、たった30分の登りでその時以上に疲れていたのである。どうも体力の衰えだけでなく、その時の暑さも関係していたのかもしれない。そういえば前回はお遍路さんだけでなく、かなりの数の参拝客・観光客がいたこともよく覚えているのだけれど、今回そこで出会ったのも一人のお遍路さん、一組の観光客だけだったのだから・・、ともあれ懸案の44番、45番を打ち終え、その日の予定は一応消化できたのである。が、この暑さの中歩いてのお遍路は無謀すぎることが明らかだった。決して無理はするつもりはなかったし、もうそんなことはできないこともわかっていた。ただ、その日の宿はそこから3kmのところの古岩屋荘に予約してあったから、そこまでは1時間近く歩いた。16:40チェックイン、いつもの年なら数日前の予約では空きはなかったかもしれないが、この時の客はわたしをいれて3人(いずれも単身)、他のお二人はお遍路さんではないようだった。いわゆるお遍路宿ではなく昔の国民宿舎だったから、設備も整っていて食事も悪くなかった(それでいて遍路宿より少し高いくらいだったので、岩屋寺付近で宿泊する場合は、この付近にはほかに宿があまりないのでお勧めかもしれない)。早い時間の到着だったから、ゆっくり岩風呂に浸かり一日の疲れは癒すことができたのだった。

 

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岩屋寺下のバス停

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岩屋寺山門(かつては八丁坂経由が表参道だったとかで、正式の山門は大師堂脇にある方だと聞いたことがある)

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本堂

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本堂脇の修行場、今回はあの梯子を登らなかった

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本堂からの眺め

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大師堂 左手奥が旧山門

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八丁坂からの表参道を来るとこの山門から入る

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旧山門を入ると最初に大師堂、先の大師堂を逆から写す

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山門から全体を写す

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古岩屋荘の黄昏

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古岩屋荘の夕食

(最初にこの記事を書きだしたのは、戻ってからすぐのことだったと思うが、いろいろあって公開は今日になってしまいました、もう一ヶ月になるとは?!!)